■私設団体による学校給食状況

114 ~ 115 / 477ページ
 大里児童育成会は、大里兵蔵氏寄附の100万円に依り設立されたる財団法人である。昭和8年10月16日最も対象児童の多い荒川区より給食が実施され、更に向島、城東、麻布、足立、葛飾、江戸川の各区に漸次給食が実施せられるに至った。次に、大里育成会の設立趣意書をみると、以下のようである。
 
   財団法人 大里児童育成会
    設立趣意書
  東京市麻布区一本松町四十番地(港区元麻布一丁目二番一三号))大里兵蔵氏ハ山下卓爾氏ヲ介シテ社会事業ノ為メニ使用スル趣旨ノ下ニ無条件ニテ金壱百万円ヲ小生ニ委託サレタリ依テ種々熟慮研究ヲ重ネ同氏トモ協議ノ結果コレヲ基金トシテ財団法人ヲ設立シ該基金ヨリ生スル果実、雑収入及今後本財団法人ノ趣旨ニ協力サルル有志家ノ寄附金ヲ以テ小学児童ノ育成事業ヲ興スノ資ニ充ツル事トセリ 惟(オモ)フニ第二国民タル小学児童ヲシテ健全ナル発達ヲ遂ケシムル事ハ国家社会ニ於ケル最大急務ナルニ拘(カカワ)ラス東京一市内ニ尚ホ約一万五千人ノ欠食児童ヲ見ルノミナラス優良児童ニシテ進ンテ修業ノ機会ヲ得サル者亦尠(マタスク)ナカラサル現状
ハ救恤(ジュツ)保護ヲ必要トスル事最モ緊切ナル社会の欠陥ト云ハサルヘカラス、即チ本財団カ今後此(コノ)種ノ救済ニ努力シ将来悲惨ナル欠食児童ノ全滅ヲ図ラントスル所以ニシテ斯(カ)クモ該事業カ小学児童育成ノ上ニ寄与スルコトハ大里兵蔵氏ノ篤志ニ合シ且ツ其美挙ヲ永久ニ効果アラシムル途ナルヲ信スルモノナリ
 武藤山治
 
 このような経緯をたどりながら、学校給食は次第に始められていった。
関連資料:【くらしと教育編】第6章第2節(2) 大里児童育成会