青年学校のようす

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 港区地域においても、「青年学校令」により、実業補習学校、実業学校、青年訓練所は統合され新しく「青年学校」昭和10年10月1日設立として発足した[注釈6]。
 
    校 名               (前 身)        (校 舎)
 芝区愛宕青年学校[注釈7]        芝区愛宕商業実務学校   愛宕高等小学校
 芝区御田(みた)女子青年学校[注釈8]  芝区御田実務専修学校   御田高等小学校
 芝区赤羽青年学校            芝第一青年訓練所     赤羽尋常小学校
 芝区三光(さんこう)青年学校      芝区三光商工学校     三光尋常小学校
 麻布区東町青年学校           東町実務学校       東町尋常小学校
 麻布区筓(こうがい)青年学校      筓実務学校        筓尋常小学校
 麻布区三河台青年学校          三河台実務学校      三河台尋常小学校
 赤坂男子青年学校            赤坂青年訓練所      赤坂尋常小学校
 赤坂女子青年学校(女)[注釈9]     赤坂区実務学校      中之町尋常小学校
 芝区高等家政学校(女)[注釈10]    芝愛宕実務学校女子部   愛宕高等小学校
 
 発足時の筓青年学級の状況を校報で見てみよう。
 
  本校は昨年の十月一日に誕生致しまして皆様の筓小学校に併置されて居りまして其名も麻布区筓青年学校と申し、私共の学校と本校とは肉親関係とも申す深い関係があり、又青年学校としての改称は昨年ではあるが其以前には麻布青年訓練所並に譬実業学校と言つて皆様の学校と同様、名実共に輝しい歴史を持って居ります。
  さて本校は富井先生を校長に載き皆様も御存じの今田、前原、富田、村田、坂本、田中、福間の諸先生及其他青年学校専門の先生を含む関係職員が二十名生徒が約四百名御座います。
  又学校の組織は普通科、本科、研究科、専修科等七ヶ年の学校体系を持つて居る。だが私共の学校は吾々が中学校、実業学校と呼ぶ学校とは異って居て研究室と実験室との関係にも譬(たと)へる事が出来るでせう。即ち研究室は青年学校であり実験室は社会生活である。要するに実際的生活或は職業に従事して居ながら自由と勉学し得る組織を備へて居る教育の普及化の現れです。
  次に目的を簡単に申し上げますと小にして産業青年としての麻布区民又は東京市民大にしては吾が帝国を背負ふ可き中堅模範的国民の養成にあります。(『校報かうがい』昭和11年、「青年学校」だより)
 
 昭和14年「青年学校令改正」によって、中等学校に進学しなかった12歳以上、19歳未満の男子に青年学校への就学義務が課せられた。
 
 国防ノ根基ニ培フハ喫緊ノ要務ナリ。政府ガ曩(サキ)ニ青年学校教育ヲ義務トスルノ方針ヲ決定セラレタルハ寔(マコト)ニ当ヲ得タルモノト謂(イ)フベシ。其ノ実施ニ当リテハ政府ハ宜シク現下ノ時局ト青年学校教育ノ本旨トニ鑑ミ愈々(イヨイヨ)重大ナルベキ今後ノ時局ヲ負担スルニ足ル皇国青年ヲ錬成スルノ決意ヲ以テ之ニ当リ一層其ノ教育ノ特色ヲ発揮スルト共ニ其ノ内容ノ充実向上ニ務メラレンコトヲ望ム。
 
とある[図3]。

[図3] 壮丁検査時の教育程度(『文部時報』775号)

関連資料:【文書】中学校教育 東京市赤坂女子青年学校
関連資料:【文書】中学校教育 <参考>港区地域で誕生し継続発展していった公立の実業学校・青年訓練所・青年学校