師範(しはん)学校卒業の教員には、5カ月の短期現役制度があり、勤務演習召集、教育召集、簡閲点呼などは免除されていた。その目的は、軍人精神を体得させ、国防及び軍事の梗概(こうがい)を修得せしめて「少国民の教育」に当たらせ、「国民に建国の大本、護国の重任」を理解させ且つ兵役の精神を徹底させようとするためのものであった。
このように、現職のまま短期現役に服し、入営中の俸給は国庫が負担していた。除隊の際には下士官適任証を与えられ「君達は今日下士官に合格し満期除隊する。今日軍服を脱いで背広になるが、軍服を脱いでも心の軍服を脱いではならない」といわれ、「背広の軍人」として教育を進めていったわけである。しかし、「兵役法」改正、昭和13年(1938)により、学校教錬終了者に対する在営期間短縮の特典は廃止され、教員に対しても、応召、入営が増えていった。