教職員の身分・待遇

176 ~ 178 / 477ページ
 教職員の身分、待遇等に関しては、大正4年(1915)「公立学校職員分限令」が制定され、身分保障が規定されている。更に、大正9年、「公立学校職員年功加俸国庫補助法」が制定され、5年以上勤続する職員の数に比例して年功加俸に要する経費を国庫で補助するものとした。ついで、大正12年「恩給法」が制定され公立学校職員はすべて適用を受けるようになった。
 中等学校の教員については大正10年4月に高等師範(しはん)学校、女子高等師範学校、臨時教育養成所・東京美術学校図画師範科・東京音楽学校甲種師範科卒業者の服務義務を一括規定されている。また、昭和2年(1927)1月27日「師範学校、中学校、高等女学校教員無試験検定許可規程」が定められた。
 なお、昭和16年の国民学校令によると、国民学校には、学校長、訓導(くんどう)、教頭、養護訓導[注釈3]および準訓導を置くことができる。18年8月養護訓導等を必ず置くことになり、国民学校教員免許状授与標準の件を詳細に定めた。
 教員の給与については、大正末期から昭和初期にかけての経済不況の社会情勢により、昭和5年12月の文部省調査によると、小学校教員の給与全部又は一部支払い延期の市町村は約1割もあった。6年には、公立小学校教員俸給の引き下げが行われ、7年9月から11年までは、「市町村立尋常(じんじょう)小学校費臨時国庫補助法」が制定、実施された[注釈4]。
 「桜田尋常小学校一覧表及調査表」の報告書には明治37年(1904)から昭和18年(1943)まで綴じられている。その中から当年代の一部を抜粋してみる。
 
 年功加俸 昭和五年  (男四八円、女二四円)
 師範第一部新卒給与昭五(男五五円女四五円) 昭和一三年(男六〇円)
 住宅料 昭和二年一七名(七円、四円、三円、二円)
 
 教員の養成については、大正14年(1925)4月に、師範学校第1部5年制となり、第2部男子が1年制となる。以後何回かの規定の改正を経て、昭和6年(1931)1月には第2部が修業年限2年となり、第1部と第2部共に小学校教員養成の本体と認めたものである。
 昭和16年10月16日の勅令により、大学高等学校専門学校修業年限6カ月短縮、文部省令により臨時短縮3カ月となり、これにより昭和17年3月卒業予定の者は16年12月卒業となった。高等師範学校、実業学校、実業学校教員養成所も短縮、しかし、中学校・高等女学校は短縮なく、師範学校も短縮なし(義務教育年限延長に応ずるため)。昭和17年8月高等学校、大学予科、6カ月短縮9月卒業、修業年限3年を2年とした。中等学校の修業年限5年を4年とすることは、18年4月入学から施行となっている。20年度は、授業停止に至った。
 [図1]は、東京市桜田小学校一覧表及調査表より抜粋した給与関係の表である。

[図1] 桜田小学校給与関係表

関連資料:【文書】教職員 養護訓導の任用
関連資料:【文書】教職員 南桜小学校の慰労金
関連資料:【文書】教職員 短期現役小学校教員俸給の国庫負担
関連資料:【文書】教職員 <参考>赤坂小学校教職員給料一覧