海浜に対して、高原における生活を通して、心身の鍛練をめざす林間学校も開かれていた。
次に、林間学園に参加した教員の報告をみてみよう。
桜田夏季学園 (『桜田校報』昭和7年)
今年も例年の通り、七月二十三日より八月五日まで、本校主催、保護者会後援の下に夏季学園が開催された。
長い四十日の休みを、臨海団とか、自分の郷里や田舎の親戚などに行って、楽しく暮すことの出来る児童は大へん幸福であるが、灼熱のほこりくさい雑沓(とう)した街に此の休みを送らねばならない児童はほんとに可愛そうである。此の気の毒なる子供達の為に、長い休み中早起修練及規律的習慣をつけ、学習に体育に娯楽に広々とした所でのんびりと暮させたいといふ目的で開かれたのがこの夏季学園である。
毎日午前六時より七時までは、早起の修練でラジオ体操をやる。七時から八時までは朝食の時間、八時より十時まで室内で自由学習、夏休み日誌を書いたり教科の復習をしたりする。それがすむと十時より十一時半頃まで、自由運動でピンポンをする。輪投げに興かるものもあれば、射的に夢中になるものもある。女子は羽根をついたり、数字合せをしたり、玉ころがしをしたり、名々自分の好きな運動に暑さを忘れてゐる。
(中略)一時間ばかり食休みがあって、一時頃から三時まで、自由運動や水浴等に過し、三時から四時頃まで約一時間ばかりは娯楽の時間でお話しの会をしたり音楽を聴いたり、活動写真を見たりして愉快に過す。そうしている中にお家の方ではお八が待ってゐる頃皆んな元気で家に帰って行く。これが大体一日の日課である。今年は割合に出席者が少なかったが、来年はもっと多く此の施設を利用される事を希望する。
関連資料:【文書】小学校教育 桜田小学校夏季学園