幼稚園の教育内容[図2][図3]

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 「幼稚園令」第1条には
 幼稚園ハ幼児ヲ保育シテ其心身ヲ健全ニ発達セシメ善良ナル性情ヲ涵養シ家庭教育ヲ補フヲ以テ目的トス
 
とあり、これに基づいて保育が行われるとされた。そして、「幼稚園令施行規則」第1条では
 
 幼稚園ニ於テハ幼稚園令第一条ノ旨趣ヲ遵守シテ幼児を保育スヘシ 幼児ノ保育ハ其ノ心身発達ノ程度ニ副ハシムヘク其ノ会得シ難キ事項ヲ授ケ又ハ過度ノ業ヲ為サシムルコトヲ得ス 常ニ幼児ノ心身及行儀ニ注意シテ之ヲ正シクセシメ又常ニ善良ナル事例ヲ示シテ之ニ倣ハシメムコトヲ務ムヘシ
 
と示され、さらに第2条で
 
 幼稚園ノ保育項目ハ遊戯、唱歌、観察、談話、手技トス
 
とその内容が指示された。
 また、この法令で入園できる幼児は、3歳以上とされているが、第6条で、
 
 特別ノ事情アル場合ニ於テハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ、三歳未満ノ幼児ヲ入園セシムルコトヲ得
 
とされていた。
 保母については「幼稚園令」第9条
 
 保母ハ幼児ノ保育ヲ掌ル保母ハ女子ニシテ保母免許状ヲ有スル者タルベシ
 
と、はじめて保母免許状を持つ保母の資格が定められた。そして、施行規則第4条において、
 
 保母一人ノ保育スル幼児数ハ約四十人以下トス
 
と定められ、幼稚園の保育が進められていったのである。
 当時の幼稚園における保育の実際について、中之町幼稚園の昭和4年度の『中之町学報』に記載されているものを次に掲げて、その一端をみることにしよう。
 
 イ 精神的方面 三つ子の魂百までといふことがありますが、幼稚園時代が一番大切な時代であります。我が園では、とくに心身の健全であって円満な発育をとげしむるようにつとめております。
 ロ 身体発育方面 健全なる精神は健全なる身体にやどるといふことがありますやうに身体発育方面にはとくに注意を致しまして、春秋二回郊外に遠足を致します。又運動及衛生には、最も重きをおきまして、身体検査は年に一回、発育調査は毎月致しております。
 ハ 智能方面につきて、幼児ののびんとする智能は、唱歌、手技、談話、遊戯、観察等の保育要目によって誘導啓発して、年長の組はやがて小学校へ入学する準備を致しております。
  春秋二回以上の父兄会をひらきまして、絶えず幼児の精神的方面及身体的方面について、連絡をはかり、衛生方面には、毎週二回学校に保健相談所を設けまして、園児の心身につきて、父兄方の御相談に応じております。
  現在迄の修了児総数(昭和四年三月末調査)
   男児 八九二名、女児 七七八名  合計 一六七〇名
  家庭の皆様へ                       斎藤小静
  世の中が日に月に進むにつれて、幼ない子供の精神的にも実に驚くべき変化をきたしてまゐりました。ことに都会に生活する子供は、子供の天性の無邪気な性質がだんだん神経質になり何となく大人らしい子供にならうと致します。私共はどうか無邪気な子供らしいお子様に致したいと日々心配致してをります。御家庭におきましても、言語、動作には充分御注意下さいまして、わがまゝの御性質は幼いときが大切でありますからどうか充分おなほし下さいますやう紙面を通じておねがひ申ます。

[図2] 遊び・西桜幼稚園


[図2] 遊び・南山幼稚園


[図3] ガクタイゴツコ・麻布幼稚園