公立幼稚園の増設

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 昭和初期に設置された幼稚園は、昭和6年(1931)から昭和9年にわたって、[図4]の4園が開設されている。
 次は、西桜幼稚園の設立に関する記録の一部である。
 
    教収第一二一六号
          昭和六年四月廿弐日
     東京市長  永 田 秀次郎 印
    東京府知事 牛塚虎太郎殿
      幼稚園設置ノ件認可申請
  本市芝区ハ人口十七万余毎年度就学ノ始期ニ達スル児童数三千余ニ上リ小学校数亦二十ヲ算スル大区域ナルニモカカハラス未タ幼稚園ノ設置無之入園希望者ヲ収容スル能ハサルハ洵(マコト)ニ遺憾トスルトコロニ有之其ノ設置ハ刻下ノ急務ナリト認メラレ候ニ付左記幼稚園設置致度候条御認可相成度別紙関係書類相添此段申請候也
  第二十三号           昭和六年四月十日原案可決
      幼稚園設置ノ件
 東京市西桜尋常小学校ニ昭和六年度ヨリ左記要項ニ依ル附設幼稚園ノ設置認可ヲ申請スルモノトス
   昭和六年四月七日提出
 東京市芝区長  船 津 新四郎
     記
 一 名 称 東京市西桜尋常小学校附設幼稚園
 二 収容園児 満四歳ヨリ尋常小学校ニ入学スル迄ノ幼児約百人ヲ収容ス但シ事情ニヨリテハ園児数ヲ百二十人迄増加スルコトヲ得ルモノトス
 三 保育料 一人一箇月金参円五拾銭トス
 四 設立費及維持費  (略)
 五 開園予定年月   昭和六年四月
 六 将来ニ於テ本附設幼稚園ノ施設ノ為メニ西桜尋常小学校ノ教育ニ支障ヲ来スニ至リタル時ハ之レヲ廃止又ハ他ニ移転スルモノトス
  (理由)
  芝区桜川町十一番地手代木佑寿氏外九名ヨリ設立ニ必要ナル初度調弁物並維持費ハ寄附ヲ条件トシテ同校ノ空キ教室ヲ利用シテ附設幼稚園設置方出顧ノ処同幼稚園ノ設置ハ幼児ノ保育機関トシテ適当ト認メテ本案ヲ提出ス
      東京市西桜尋常小学校附属幼稚園園則案
 第一条 本園ハ満四歳ヨリ尋常小学校ニ入学スル迄ノ幼児ヲ保育スルヲ以テ目的トス
 第二条 本園ニ収容スヘキ幼児ノ定員ヲ約百人トシ但シ事情ニヨリ百二十人迄増員スルコトアルヘシ
 第三条 本園ニ於ケル幼児ノ保育項目ハ遊戯、唱歌、観察、談話、手技トス
 第四条 (保育期)第五条(保育時間)第六条(休業日)……(略)
 第七条 入園ハ毎年四月之ヲ許ス但シ欠員アル時ハ臨時入園セシムルコトアルヘシ
 第八条 入園ヲ望ム者ハ園長宛入園願書ヲ差出スヘシ
 第九条 保育料ハ一人一箇月金参円五拾銭トシ毎月十六日(休日ニ当ルトキハ翌日)ニ納付スヘシ但シ在園中ハ出欠ニ拘ハラス毎月之ヲ納ムルモノトシ八月分ハ徴収セス
 第十条 左ノ場合ニハ保護者ヨリ速カニ届出ツヘシ
     一 幼児及保護者ニ於テ改氏名、転居等ノ事アリタル時
 第十一条 本園ニ於テ保育ヲ受ケタル幼児ニハ年度末ニ於テ保育証ヲ授与ス
 第十二条 退園セントスルトキハ其ノ事由ヲ具シ保護者ヨリ退園届ヲ差出スヘシ
 第十三条 無届欠席一ケ月以上ニ及フ時ハ除籍スルコトアルヘシ
 
 このような経緯をたどって西桜幼稚園は設立され、戦時非常措置で一時休園したものの現在に至っている。

[図4] 昭和初期に設置された港区地域の公立幼稚園

関連資料:【文書】幼児教育 幼稚園設置(南山・麻布麻中)
関連資料:【学校教育関連施設】