[図3] 開設当初の光明学校(港区立みなと図書館所蔵写真)
それまで、肢体不自由のため普通の小学校に入学できないか、又は入学しても皆と一緒に勉強できない不幸な児童にも教育の機会が与えられ、持てる才能を伸ばすことができるようにしたのである。そして、昭和16年国民学校となり、戦後は、都立光明小・中学校となり、同32年東京都立光明養護学校となっている。
次に開設時の記録をあげてみよう。
昭和七年四月一日 東京市長 永 田 秀次郎 印
東京府知事 藤沼 庄平殿
東京市立光明学校設置ノ件認可申請
本市学齢児童中運動機能ニ障害アル者ニ対シ普通教育ヲ施シ併セテ其ノ生活ニ須要ナル特殊ノ知識技能ヲ授クル為小学校令第十七条ニ基キ昭和七年四月一日ヨリ標記学校設置致度候条御認可相成度別紙関係書類相添及申請候也
記
一 設置ノ目的
本市学齢児童中運動機能ニ障害アル者ニ対シ特ニ身体ノ保護発達ニ留意シテ道徳教育及国民教育ノ基礎並ニ其ノ生活ニ必要ナル知識技能ヲ授クルヲ以テ目的トス
二 名称 東京市立光明学校
三 位置 東京市麻布区本村町二百三番地ノ二号 面積 一〇二〇、二〇坪
校舎平面図 別紙ノ通 飲料水 水道水
五 学年別 学級数 児童数 ([図4]参照)
六 収入支出予算表 別紙ノ通
七 開校予定年月日 昭和七年六月一日
(中略)
東京市立光明学校学則案(抄)
第一章 総則
第一条 本校ハ学齢児童中運動機能ニ障碍(ガイ)アル者ニ対シ普通教育ヲ施シ特ニ国民道徳ノ涵(カン)養ニ努メ其ノ生活ニ須要ナル特殊ノ知識技能ヲ授クルヲ以テ目的トス
第二条 修業年限ハ六年トス、但シ修業年限二年以内ノ補習科ヲ置クコトアルヘシ
第六条 本校ニ入学スルコトヲ得ル者ハ運動機能ニ障碍アル者ニシテ年齢満六年以上十四年以下ノ者トス、但シ相当年齢ニ達シ相当学カアリト認メタル者ハ第二学年以上ニ入学ヲ許可スルコトアルヘシ
第七条 授業料ハ之ヲ徴収セス
第一一条 入学志願者ハ本市ニ住所ヲ有スル者タルヘシ
第一六条 保証人ハ入学者ノ父兄又ハ之ニ代リテ監督ノ責ニ任シ得ヘキ者ニシテ本市ニ住所ヲ有スルモノタルヘシ
第二一条 本校ニ収容スルコトヲ不適当ナリト認メタル者ニハ退学ヲ命スルコトアルヘシ
第二二条 学校長ハ教育上必要ト認メタルトキハ児童ニ懲戒ヲ加フルコトヲ得 但シ体罰ハ加フルコトヲ得ス
[図4] 東京市立光明学校の学年別学級数・児童数