昭和7年の弱視児童の調査結果が発表されると東京朝日新聞社はこれを取り上げ、次のような記事をのせ、弱視児童の教育の必要性を訴えている(昭和8年2月3日)。
最近都下各小学校には盲に近い弱視の児童が非常に多いので近くこれらのための特殊教育施設をなすべくまづ旧市部一五区の小学校弱視児童調査が大体終わり発表された。その結果は、〇・二以下の弱視児童のをらぬ区は皆無で男子一四一名、女子一五六名合せて二九七名に上り全生徒との比率は千人に対し一・六四人、多いのは芝区の五三名、下谷区の五〇名、本所区の四八名で一番少いのは四谷区の四名となっている。
これらの弱視児童は僅かに物が見えるといった程度で普通小学校で十分な教育が受けられない。といって盲学校に入っても僅かな視力が邪魔になって点字の教育もいけないといふ気の毒な境遇にある。
更に、眼科医師会による弱視学級設立の建議もなされた。
建議書
文部省ハ全国弱視学齢児童の為、全国大都市ニ速ニ特殊小学校ヲ設立スル様適当ノ措置ヲ講ゼラレタシ 右建議ス。
昭和八年一月七日 日本眼科医師会
文部大臣 鳩山一郎殿
また、東京市では東京市弱視学級案を作成して設立の準備を進めていた。
東京市弱視学級案
① 収容児童の標準
(イ) 裸眼視力良き方で二米指数(〇・〇四)以上〇・三未満で矯正し得ない者
(ロ) 眼屈折異常又は眼疾患があって現在の裸眼視力〇・三以上であっても将来甚しい視力障碍を来す惧(おそれ)ある者
(ハ) 以上の児童で精神及び官能に甚しい欠陥のない者 (以下略)
関連資料:【文書】特別支援教育 南山小学校の弱視学級
関連資料:【学校教育関連施設】