学徒出陣

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 昭和18年12月、在学徴兵延期停止によって、学生、生徒が大挙して入営することになった。
 この年の10月21日午前10時、文部省は東京周辺の徴兵延期停止によって入営を予定される3万近くの学徒を明治神宮外苑競技場(現在の国立競技場)に集めて、一大壮行大会を催した。当日は雨の天気であったが、式は国民儀礼―皇居遥拝、武運長久祈願黙祷(もくとう)を意味する―にはじまって、時の首相東条英機、文部大臣岡部長景の壮行の辞があり、出陣学徒代表と送別学徒代表の応答の辞があって式が終っている。そのあと、全員は競技場内を1周して、宮城(きゅうじょう)前までの行軍に移った(『東京百年史』第5巻)。
 このように東京中心の大学は文部省の主催によって共同の壮行会を行ったのであるが、多くの大学は、また別個に壮行会を行っている。
 慶応義塾大学では、この徴兵延期停止により検査を受け、学徒出陣に参加したものは大学学部(文・経・法)で3570人、大学予科で524人、高等部174人で合計4268人に達している。そこで11月17日に、塾生だけの出陣壮行音楽会を大学の講堂において2日連続して開いて出陣学徒へのはなむけをした[図6]。

[図6] 学徒出陣(撮影・河村堅太郎 慶應義塾福澤研究センター所蔵)

 早稲田大学でも、同じように延期停止の緊急措置で徴兵検査をうけたものは約6000人、11月15日に戸塚球場で全学園をあげての学徒出陣壮行会が行われた。
 明治学院大学においても「昭和十八年、臨時徴兵検査を受けたる受験者、四一〇名、朝鮮や台湾人の志願者三二名」という記録がみられる。