学童疎開の実施[図6]

314 ~ 315 / 477ページ
 学童疎開の実施の第一番は、縁故疎開のすすめであった。19年の3月には、各国民学校で、修了式を終え、新学期より他地域への縁故疎開に転出する児童が増加してきた。
 4月の調査によると、旧3区の縁故疎開児は総数3974名であった。麻布区は縁故疎開へのすすめを、父兄に出している。
 
 拝啓 愈々御清祥奉慶賀候、扱て戦局は、日毎熾烈(しれつ)、空襲必至の情勢となり、東京都に於ては帝都防衛上、急速なる学童の疎開を実施することと相成候につき、各家庭に於かれては、地方の縁故知己等を頼り、国家の要請に副(そ)ふ様格段の御配慮相煩し度候。追而(おって)第三学期の授業は、三月十八日を以て終業致すことと相成候間為念申添候。
 昭和十九年三月十四日
                            東京都麻布区長・麻布区各国民学校長

[図6] 港区地域の学童集団疎開地

関連資料:【くらしと教育編】第10章第1節 (1)縁故疎開から集団疎開へ