冬期対策

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 昭和19年9月8日付で東京都教育局長より区長宛に、「学童集団疎開ノ冬期対策ニ関スル件」という文書が出されている。
 
 一 食糧 冬期交通途絶ノ虞(オソレ)アル箇所ニ於テハ其ノ期間中ノ所要食糧ヲ預メ貯蔵シ置クコト
 二 燃料 今日ヨリ極力確保ニ努ムルコト、尚児童ヲシテ之ニ協力セシムルコト
 三 煖房 火鉢、燵等ノ準備ヲ為スコト、温泉ニアリテハ湯タンポ(一升瓶代用可)ヲ用意スルヲ便トス
 四 衣服 外套(トウ)、又ハマント、長ズボン、綿入又ハ袷モンペ、雪帽子、手袋 足袋、マスク、ゴム長靴又ハ藁(ワラ)靴等ヲ準備スルコト
 五 寝具 冬季所要分ヲ各保護者ヨリ追送セシムルコト保護者ニ於テ追送シ難キ者アルベキヲ以テ之ニ充ツル為現地ニ於テ借入調達ニ努ムルノ外ニ於テ夫々可然考慮ノコト
 六 対寒運動 常時皮膚ノ鍛錬ニ努メ、スケート其ノ他土地ノ状況ニ応ズル
 七 宿舎設備 寺院、集会所等ニシテ防寒上ノ設備不充分ナルモノニ対シテハ所要ノ設備ヲ施スコト
 八 宿舎ノ移転 調査ノ結果前項ノ施策ヲ講ジ難ク現状ノ儘(ママ)冬季ヲ過シ得ザル虞アル宿舎ハ豫メ都ト協議ノ上他へ移転スル様準備スル
 続いて、9月9日に、「学童集団疎開冬期用品ノ輸送ニ関スル件」が校長会議に指示された。
 
 一 荷物ハ成ル可ク同一宿舎ノ児童数人分ヲ取纏(マト)メテ一箇三十瓩程度ニ梱(コン)包シ縫付荷札又ハ荷札ヲ附スルコト
 
とあり、赤坂国民学校の例によると、昭和19年9月26日に、223箇の荷物(児童154職員13)を汐留駅より箱根崎駅へ、北多摩郡村山村の長円寺、真福寺、禅昌寺学寮にと届けられた申請書が残されている。
 これより先、昭和19年9月14日に、村山村長円寺学寮より赤坂国民学校長宛次のような冬期対策案が出されている。
 
 1 障子紙(二十巻)現地調達見込ナシ
 2 隙(スキ)間フサギニ要スル紙ノ量 全紙大(五十枚)
 3 隙間フサギニ要スル薄板量  (二石)
 4 間ジキリ襖(フスマ)障子代用品等 障子(三四本) 屏風(ビョウブ)(六枚折二)
 5 火鉢等所用数量ト其ノ使用目的 行火(八個)大キサニ尺五寸角
 6 炊事場 五坪(坪三百円)
   井戸屋 二、五坪(坪二百円)  風呂場 三坪(坪三百円)
 
 また、11月25日現在で、「学童集団疎開学寮冬季採煖用設備ニ関スル件」の「採煖用施設調」の報告を見ると[図30]のように心細いものであった。

[図30] 学童集団疎開の冬の準備(「採煖用施設調」)

関連資料:【文書】教職員 赤坂小学校学童集団疎開の状況