待避施設[図31]

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 塩原、鬼怒川、川治の様な山峡の温泉地に疎開した学童には、空襲の直接被害を受ける事は少なかったが、佐野、足利、多摩地区の様に、付近に軍需工場があるような場所では、警報のなるたびに防空壕(ぼうくうごう)に待避する必要に迫られていた。次のような「待避施設実施要領」が、各学寮長に示された。
 
一 構造 待避所ハ堅固ナ掩蓋(エンガイ)ヲ有スルモノヲ最良トスレドモ資材入手ノ困難ナル折柄無掩蓋ノモノモ亦已ムヲ得ナイ。既設待避所ノ掩蓋ノ中ニハ材料構造ニ於テ極メテ脆(キ)弱ニシテ寧(ムシ)ロ有害ト認メラルヽモノヲ散見スル。掩蓋ノ効用ハ弾片、落下物及倒壊物ニヨル被害ヲ防止スルモノニシテ、堅牢ナル構造トセネバ、爆震動或ハ倒壊物ノタメ崩壊シ待避者ガ埋没サレ圧死スル虞アルヲ以テ注意ヲ要スル
 左ノ如キ場所ハ待避所ニシテ現在掩蓋ノ設ケナキモノハ資材入手次第堅牢ナル掩蓋ヲ設置スルヲ要ス
 イ 高層建築物ニ接近シテ築造セルモノ
 ロ 危険物、貯蔵庫、油類タンク、重要工場ノ附近ニ築造セルモノ
 ハ 石造・練瓦造等崩壊ノ虞レアル建築物及塀等ニ接近シ築造セルモノ

[図31] 防空壕

 ニ 瓦屋根及硝子窓ノ多キ家屋ニ接近シテ築造セルモノ
  前項イ、ロ、ハノ如キ最モ危険ナル個所ニハ図六ノ如キ掩蓋ヲ設ケルコト、標準構造ハ図1~6通リトス
二 補習及整備(以下略)
 前記の指示により、12月27日に、赤坂区長に赤坂国民学校長より「待避所設置状況ノ件」[図32]として報告がされている。

[図32] 待避所設置状況報告(11月25日現在)

関連資料:【文書】教職員 赤坂小学校学童集団疎開の状況
関連資料:【くらしと教育編】第10章第1節 (4)空襲の恐怖、被害、再疎開