刊行に当たって

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港区教育委員会教育長 浦田 幹男


 このたび、港区の近代教育150年を超えるあゆみを通史としてまとめた『港区教育史』(通史編)および『港区教育史』(資料編)を刊行いたしました。
 20世紀から21世紀に時代は流れ、持続可能な社会への移行や情報通信技術の進展など、社会状況は急速に変化しております。港区の教育の現場においても、環境教育として地域住民および専門家の方々と連携し、地域の課題に向き合う取り組みや、国が進めるGIGAスクール構想を踏まえた小・中学校の児童・生徒への1人1台のタブレット端末の配備など、変化を的確に捉えたさまざまな施策を推進しております。
 複雑かつ多様な課題に対応することが求められている今、これまでの港区の教育のあゆみを振り返り、先人たちの功績を学ぶことは誠に意義深いことであります。
 港区教育委員会は、昭和62年の『港区教育史』(上・下巻)、平成9年の『港区教育史』(資料編1、2)の刊行から20年以上が経過した平成29年3月15日の区政70周年を迎えたことを機に、港区の教育のあゆみを体系的に記録し、後世に語り継いでいくことができる教育史として、『港区教育史』の編さんに取り組み始めました。
 区民の皆さまからの資料提供、5年にわたる監修者・執筆者による調査研究および港区教育史編さん委員会における検討など、多くの方々からの支えによって、『港区教育史』(通史編)および『港区教育史』(資料編)を、皆さまにご提供できますことは誠にありがたく、喜ばしいことです。
 今回の編さんに当たっては、既刊の『港区教育史』を最大限に生かした上で、昭和60年ごろから平成期にわたる港区の教育の歴史を新たに執筆しました。
 図表、写真などを多く用いることで、わかりやすく親しみやすい、区民が身近に感じられる教育史とし、WEBサイト「デジタル港区教育史」では、本書のデジタル版を公開しています。デジタル版ではキーワードによる検索が可能で、編さん過程で発見された貴重な資料やグラフの数値も公開するなど、書籍版に掲載していない資料も最大限収めております。
 書籍版、デジタル版により、多くの先人たちが教育に捧げられた御苦労と港区の教育のあゆみを捉え、これからの教育のあり方を考える上での一助となれば幸いです。
 最後に、『港区教育史』の刊行に当たって、貴重な史資料の提供や調査活動にご協力いただきました関係者の皆さまに心から御礼を申し上げるとともに、編さんにご尽力いただきました監修者・執筆者をはじめ、港区教育史編さん委員の皆さまにも深く感謝を申し上げまして、刊行のごあいさつといたします。

令和4年3月