[図7] 新橋闇市(港区立図書館所蔵)
新橋駅近くにあった桜田小学校95周年記念誌『さくらだ』に、当時の様子について次のような記述がある。
集団疎開地の残務整理を終え、主力より一ケ月遅れて新橋に立った私達が驚いたのは有名な闇市の繁栄であった。いろいろな物資が闇市に集まり、都内の多くの人々がそれを買うために闇市にむらがっていた。けんかは日常茶飯時であり、闇市にあつまった人々の糞便で、校舎と塀の間は足のふみ場もなかった。戦前から入っていた食糧公団が依然として現在の校長室の隣を使用していた。公園のあづまやは浮浪者で一ぱいであり、血便を流しながら校庭の水道へ水をのみにくる者もいた。あずまやでは、むしろと、ぼうきれと、たき火で暖をとっており、そこにはぞっとするようなしらみが群をなして歩いていた。警察で追ってもすぐにもどってくるような状態で手のつけようもなく、子ども達には、絶対に近よらせないようにしていた。(略)(「桜田の戦前から戦後」)