[図14] 新学制実施を報道する新聞記事(朝日新聞 昭和21年12月29日)
[図15] 学習指導要領
社会科の取り扱いは大きな問題であった。『学習指導要領社会科編』には、
この社会科は、従来の修身、公民、地理、歴史を、ただ一括して社会科という名をつけたというものではない。社会科は、今日のわが国民の生活から見て、社会生活についての良識と性格とを養うことが極めて必要であるので、そういうことを目的として、新たに設けられたものである。ただこの目的を達するには、これまでの修身・公民・地理・歴史などの教科の内容を融合して、一体として学ばなくてはならないのでそれらの教科に代って、社会科が設けられたわけである。
と述べてあり、「従来の修身・公民・地理・歴史を融合した教科である。」と規定されている。
しかし、従来には無かった新しい観点に立った教科であるだけに、本区の桜田小学校をはじめとして、全国に設けられた実験学校以外の学校では、その取り扱いについて極めて苦慮したようで、遂には昭和22年4月22日文部省学校教育局長、教科書局長より、社会科実施の時期を一応9月の新学期まで延長するようにとの通達を発している。
その後、本区桜田小学校をはじめとする実験学校の研究をもとに、昭和25年4月に「東京都小学校教育課程」(第1次案)が作成され、都内各小学校に配布され、それが各校の指導計画の基礎となった[注釈7]。
自由研究については、教科の学習時間の中では児童の興味関心を十分に達成ができないので、自主的な活動のできる時間を設けて教師の指導のもとに伸ばそうとするものであった。これによって児童の自発的活動を促そうとするものである。『学習指導要領一般編』では、4年以上、年間授業時数、70~140時間、週平均2~4時間が示されており、時数のとり方からみても重視されていたことがわかる。しかし、昭和26年に発表された改訂指導要領では、自由研究は発展的に解消され、教科以外の活動の時間となった。教科以外の活動としては、児童の自律的な学校生活に役立つ活動(児童会、学級会、子ども銀行等)、クラブ活動などが示されている。
新しく誕生した家庭科は、国民学校時代の女子だけが学習した裁縫、家事に類似する。しかし男子・女子共に学習すること、技術の習得だけにとどまらず家庭関係の理解、家庭生活の向上を図るための態度や能力を育成することを目的としているところが大きなちがいである。学習指導要領では第5学年、第6学年で実施、両学年とも年間総時数105時間、週平均3時間が基準として示されている[図16]。
[図16] 桜田小学校家庭科の授業(朝日新聞 昭和23年9月12日)
関連資料:【文書】小学校教育 主食しらべ(自由研究)
関連資料:【文書】小学校教育 カエルの研究(自由研究)