学習指導要領の改訂

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 第1回の学習指導要領は「試案」と記されていた。これは、わが国で初めてのものを作るということ、十分な時間をとって作成できなかったということ、ならびに教科課程の編成は文部省ではなく、それぞれの学校が行うこと、学習指導要領が絶対的なものではないということを示したものである。各教科の配当時間数は年間の時数で示されており、週当たりの時数はカッコづけされ、第4学年以上は弾力性を持たせている。
 『学習指導要領一般編(試案)』は昭和26年に改訂された。この改訂版のなかで、教育課程という語が使われ教育課程の構成は各学校で行うものであるとし、また、「教育課程を構成する場合の最も重要な資料であり、基本的な示唆を与える指導書である」として教育課程の作成と学習指導要領の関係を明らかにしている。
 この改訂での大きな特徴は、「自由研究」に代わって「教科以外の活動」の時間を設けたこと、教科をいくつかの群に分け、時間配当をその群ごとの比率で示していることである。
 昭和33年、学習指導要領は全面改訂される。この改訂の大きな特徴は、「試案」の語がけずられたこと、「道徳」の時間を特設したことである。道徳は従来は社会科をはじめとする全教科・全学校生活の中でなされるものとされてきたが、加えて、非行の増加が社会問題となり、論議が繰り返されついに特設されるに至った。
 また、この年、「学校教育法施行規則」が改正され、教育課程は「各教科」「道徳」「特別活動」「学校行事等」の4領域と定められた。これが新しい学習指導要領での構成の基本となった。それと同時に学習指導要領の法的拘束性が明確に示されるようになった。「学校教育法施行規則」では、「教育課程の基準として文部大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする」と定められた。このことによって学習指導要領は従前のものから性格を大きく変え、法的拘束力を持つ「教育課程の基準」となった。
 「学校教育法施行規則」では、小学校の各教科及び道徳について、各学年別に年間最低授業時数を定めているのは[図17]のとおりである。
 改訂された学習指導要領は、「道徳」については昭和33年直ちに実施、そのほかは移行措置がしかれ、昭和36年度より実施された。
 この後、社会の変化に対応して、また、実施した後の反省と共に約10年後の昭和43年に学習指導要領が改訂された。改訂されたのは、各教科等に示されていた「最低基準」の授業時数を「標準授業時数」としたこと、また「特別教育活動」と「学校行事等」を統合して「特別活動」としたことなどである。この学習指導要領は昭和46年度から実施された。

[図17] 小学校の教科と時間配当・昭和26年改訂

備考(a)
この表は、教科の指導に必要な時間の比率だけを示しているが、学校はここに掲げられた教科以外に教育的に有効な活動を行う時間を設けることがのぞましい。
備考(b)
教科と教科以外の活動を指導するに必要な1年間の総時数は、基準として次のように定められる。
 第1学年および第2学年 870時間
 第3学年および第4学年 970時間
 第5学年および第6学年 1,050時間


 
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