健康教育の研究と実践

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 前に述べた桜田小学校が社会科を中心としたカリキュラムの作成と実践を始めたころ、高輪台小学校では東京都、日本学校衛生会、公衆衛生院教育研究会の衛生教育指定校となり、健康教育の研究・実践を進めている[注釈10]。
 研究の出発は清潔教育からであったが、昭和24年ごろからは広く保健教育を研究・実践するようになる。研究は十数年続けられ、その間全国規模の発表会を開催し多くの参会者を集めている。昭和34年11月3日、全日本健康優良児童学校表彰会より特選優良学校として、昭和34年11月5日、東京都健康優良学校として東京都教育委員会より表彰され、また、東京都健康優良学校として、東京都学校保健会より表彰を受けている[図24]。
 特選優良校となった当時の様子を朝日新聞(昭和34年10月20日)は「健康優良校特選に高輪台小学校」を次のように報じている。
 
 とくに戦後は「保健」をあらゆる教科の基本として児童の心身を丈夫にすることに全職員が一丸となって努力してきた。この学校には「保健科」の時間があるが、都内の小学校でこれを独立の教科にしているのは、ここと品川区立御殿山小の二校だけである。高輪台小で保健教育推進の中心になっているのは、さる二四年に設けられた学校保健委員会、このような委員会はさる二六年ごろから文部省の指導で各学校に設けられるようになったが、同校ではその二年も前に作ったわけだ。構成メンバーは先生一二人、生徒代表三八人、父母代表三三人に校医など。必要とあれば、区内の国立公衆衛生院の専門医、地元保健所長、警察署長、消防署長なども招いて指導を受ける。衆知を集めて、保健衛生の向上を図っているが、給食研究部と協力して実現させた給食の改善もその一つ。
  主食のコッペパンがまずい、との苦情もあったので、昨年二月PTAの協力を求めて、製パン施設を校内に作り、おいしくて栄養もある自家製パンを食べさせることにした。おかずは、各家庭の食習慣を調べてそれに合わせ、献立を毎週家庭に連絡して同じ日に同じものを食べさせないように気を配っている。(略)またインフルエンザなど伝染病の予防や身体の弱い生徒に対する個人指導にも力を入れている。毎朝先生が受持ち児童の〝健康観察〟をして、異常のある生徒は観察票に書込んだうえ、一応設備の整った保健室に送る仕組だ。このように学校全体が組織的に保健活動を続けていること、PTAや地域社会とも協力し、行き届いた健康管理をしていることなどが高く評価されたという。

[図24] 文部大臣のきごうと健康優良学校表彰(『高輪台小学校記念誌』)


[図24] 文部大臣のきごうと健康優良学校表彰(『高輪台小学校記念誌』)

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