使用教科書の採択

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 教科書の採択は教科書展示会で閲覧し、採択希望書を提出することになったが展示会の期間が短く、多くの教科書を十分に調査し比較検討を加えることは非常に困難であった。そのため、教科書を常時展示しておく常設展示場である教科書センターの設置を要望する声が強くなり、昭和31年に文部省は全国に教科書センターの設置を決定した。
 港区では昭和32年に教科書センターを設置して、常時教科書を展示するようになった。その様子を『港区政ニュース』NO.154(昭和32年1月15日)は次のように伝えている。
 
  鞆絵(ともえ)小に教科書センター
          父兄もぜひ御一覧を
  港区教育委員会では、このほど鞆絵小学校に、教科書常設図書館を開設致しました。これは小学校、中学校、高等学校の各課程において、現在使用されている教科書を一室に集め、その参考書等もすべて取揃え、先生方の研究に供しているもので、毎週火曜並びに木曜の午後一時から四時まで閲覧室を開いておりますから、先生方は勿論のこと、父兄の方々も御参考までにぜひ一度御覧下さい。
  閲覧は御自由ですが、御希望があれば貸出しもいたしますし、団体での参観には、担当の先生方が説明もいたします。
 
 新学制の教科書は当初有料であったが、昭和37年制定の「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づき無償制度が発足した。昭和38年度小学校第1学年より実施され、その後次第に拡大していき、中学校全学年まで無償給与されるようになった。
 また、これと共に、今までの自由選択が改められ、中学校用教科書については、昭和40年度より統一採択方式となり、23区については地方教育行政法により東京都教育委員会が学校の意見をもとに採択することとなった。