健康第一を指導の重点においた学園の方針は、学園の立地条件を生かした臨地学習や行事に十分生かされ効果を多大のものとしてきた。
昭和36年の校外学習では、三島の楽寿園、千本松原、魚市場、香貫山登山、三津水族館、木負の密柑狩り、五竜の滝、学校図書印刷所、熱海の梅林、温泉プール等があり、毎週土曜日の午後及び日曜日は主として寮母の引率外出で、海岸での砂遊びや魚つり、牛臥山登り、静浦海岸や御用邸方面への散歩を実施している。これも都会ではまねのできない立地条件を生かした指導である。
遠足に行ったりすると、水筒にオタマジャクシを一杯入れて帰ったりカエルをつかまえてきて、カエル競争をやったりしています。気の小さかった子供がアオダイショウをつかまえてきてみんなを驚かしたりする気の太い性格に変った子もいます。
というような記事が、『区のお知らせ』(37年8月15日)に掲載されている。
学園生活を体験した児童の作文が、昭和40年3月21日の『区のお知らせ』に紹介され、園内の生活ぶりがよくわかる。
学園生活の思い出
ぼくは、学園に来てから、もう二年になる。その間にはこんなことがあった。天文台のある香貫山、象山、わし頭山に登ったり、梅園、温泉プールに行ったり、学園の庭で運動会もやった。
夏は、船で大瀬岬に行って、きれいな海辺で遊んだこともあった。
いまでは夢のように思える。東京へ帰ると時々熱が出るが、こちらに来てるとからだのぐわいがとてもよい。ぼくは、六年の三学期までくるつもりだ。
もう一年しか学園にいられない。
一ばんたのしいのは、月に一どの面会日だ。両しんとあってお話したり、ごちそうを食べるのが何よりうれしい。
学園の生活は、冬は七時三〇分起床、起床から一五分間ぐらい乾布まさつをし、ふとんをたたむ。歯をみがき、顔を洗う。八時一〇分朝食をして、九時から一時間目がはじまる。五時にお手つだい、六時三〇分から一時間自習をする。七時三〇分から一日の反省 ねるしたくをする。
学園の生活は一生の思い出になるだろう。