第1次米国教育使節団の報告書では、新制高等学校について次のように述べている。
……更に三年制の『上級中等学校』も設置し、授業料は無徴収、ゆくゆくは男女共学制を採り、初級中等学校よりの進学希望者全部に、種々の学習の機会が提供されるようにすべきである。
「学校教育法」では新制高等学校は「中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする」学校と位置づけられた。また目標として、
1 中学校における教育の成果をさらに発展拡充させて、国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと。
2 社会において果さなければならない使命の自覚に基き、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること。
3 社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること。
があげられている。
高等学校は課程により、全日制、定時制、通信制に分かれ、内容からは、普通教育を主とする学科、専門教育を主とする学科に分かれた。
修学年限については昭和25年(1950)、「学校教育法」改正により、「高等学校の修業年限は3年とする。ただし、定時制の課程を置く場合は、4年以上とする」となった。
東京都では、昭和23年4月より、旧制の中等学校を基盤として新制高等学校を設立した〔同年9月5日現在、公立高等学校は全部で108校であった(『東京都教育概要』)〕[注釈1]。発足に際しては、旧制中等学校は、昭和22年度をもって第1学年の生徒募集を中止しており、昭和23年4月には、旧制中等学校第5学年進級生徒を新制高等学校第2学年に、旧制中等学校第4学年進級生徒を新制高等学校第1学年に移行させ、旧制第3学年進級生徒については、併設新制中学校第3学年生として在籍させ、翌年には、都立新制高等学校に優先入学させる処置をとった[注釈2]。また希望者には、旧制中等学校の課程を修業させたので、旧制中等学校は昭和25年度まで続いた。
昭和24年3月、東京都は、「東京都公立高等学校通学区域に関する規則」を定め、全日制普通科高等学校について学区制を採用した[注釈3][注釈4]。すなわち全都を第1学区から第10学区にわけ、全日制普通科高等学校に入学しようとする者は、自己の居住地の属する学区内所在の高等学校を選ばなければならないとされた。港区居住者は、第1学区(千代田区、港区、品川区、大田区)に所在する高等学校を選択することになった。ただし、職業科高等学校、定時制高等学校には適用されず都内全域の高等学校を選択することができた。
入学選抜にあたって、東京都は、「昭和二十三年度東京都公立新制高等学校入学選抜実施要綱」を示した。これによって、
①入学志望者が公募定員を越える学校に限り、出身学校長からの報告書に基づいて選抜を行う。
②公立新制高等学校希望者はすべてアチーブメントテスト(学力検査)を受けなければならない。
という方法がとられた。その後学区制・選抜制も改革が加えられ、昭和42年度より学校群制度が実施されるようになった。