港区教育目標の設定

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 昭和22年(1947)に、新学校制度下の学習指導要領に基づいた教育活動がスタートした。戦後の教育改革に迫られ、短期間で作成された学習指導要領は、教科間の関連が十分に図られていないなどの問題があって、同26年には改訂が行われた。
 しかし、これまた、戦後の新教育の潮流であった経験主義に偏り過ぎるなどの問題や授業時数の定め方に幅があり過ぎることから、地域による学力差が生じたため、続いて同33年に学習指導要領の再改訂が行われた。
 昭和33年当時の港区教育委員会が設定した学校教育における教育目標は、次のような内容であった[注釈15]。
 
     教育目標
 個人生活
 一 ものごとを自分の眼で確かめ、進んで生きた知識技能を身につけ、自主的に生活を創造するようになる。
 一 心身に適合した健全な楽しみをもち、これを生活の中に有効に生かすことができるようになる。
 一 自分のからだに即して、健康の維持増進ができるようになる。
 一 あたたかい愛情と、まごころをもってつくす強い意志をもつようになる。
 社会生活
 一 互に相手の価値を認め、人間関係の基本を育てる家庭の機能を理解するようになる。
 一 常に生活を合理性にもとづいて改善しようとする意欲をもち、その実現に努力し、くふうするようになる。
 一 豊かな心情を持ち、みんなのために互いに意見を尊重し境遇を理解し合い、人間としての共感を持って行動するようになる。
 一 男女は人間として平等であることを理解し、互に敬愛しあうようになる。
 一 集団生活の意義を理解し、相互の協力と責任において地域社会の改善に努めるようになる。
 政治・経済
 一 家庭や社会の経済についての関心を深め、積極的に社会に貢献することができるようになる。
 一 勤労の尊さを知り個人の能力に応じた適正な職業選択ができるようになる。
 一 みんなが幸福になるために、政治を各人の責任において、よいものにしていこうとする意欲をもつようになる。
 一 憲法、法律などの精神やはたらきを理解し、民主政治についての自覚を高め、これを推し進めようとする情熱をもつようになる。
 一 国際人としての教養を身につけ、正しい愛国心と広い人類愛の精神をもつようになる。
 
 昭和30年代後半は、高度経済成長計画が進み、同39年には国際オリンピック競技大会が東京で開催された。
 また、豊かな社会への過渡期にあるこの時代において高校進学率が高まったが、進学と就職に二分されていく青少年の心理的葛藤や社会的豊かさと誘惑などから粗暴犯罪と性犯罪が増加し、昭和39年には青少年の非行が急増した。この時代的背景から学校教育の目標も大きく変った。
 昭和39年度の学校教育目標は、
 (1)学習指導の充実 (2)生活指導の充実 (3)幼児教育・特殊教育の振興 (4)研修活動の合理化 の四つの柱で構成されている。また、付記として、「オリンピックの年にあたり、児童生徒とともに国民的自覚と国際理解を深め、日常の教育活動について、環境の美化と公徳心の高揚につとめる」とある。
 
関連資料:【文書】教育行政 港区教育委員会学校教育目標の変遷