指導目標とその内容

333 ~ 335 / 444ページ
 昭和30年代は、文化・科学・技術においてめざましい進歩・発展をとげた時代である。一方、教育現場においても教育の現代化が進められた。学習内容あるいは学習指導のための教育技術・幼児・児童・生徒の用いる教材や教具についての改善の必要が自覚させられた時代である。昭和33年の小・中学校学習指導要領の改訂にともなって、新しく「港区教育目標」が設定された(前項(4)312ページ参照)。
 更に、昭和38年度には、「港区学校教育の指導の重点」が明示された。その内容は次のとおりである。
 
  港区学校教育の指導の重点
  本年度は、次の諸点を指導の重点として、綿密な計画と強力な推進により学校経営・学級経営の充実発展を期する。
 (1) 学習指導の強化徹底
   各校の教育課程に即して、授業時数の完全確保と学習指導のくふうによる充実した授業の実施により、学力の伸長を図る。
 (2) 生活指導の刷新向上
   校舎内の整備とあいまって、環境の美化につとめ、公徳心の高揚を図る。小中学校が一体となって、地域の実状に即した生活指導の充実を図る。教育相談の普及を図り、特に問題児童・生徒の個別指導につとめる。
 (3) 研修活動の合理化
   各校の自主的研修の推進を図るとともに、港区教育委員会主催の研修会、港区教育研究会の活動、都指導部・都立教育研究所・その他の研修事業等が学校経営の中に位置づけられるよう構造化することをすすめ、研修活動の合理化を図る。
 
 つづいて昭和42年度の内容をみてみよう。
  港区学校教育の重点目標
  学校教育本来の使命について認識をさらに深めて、教育の正常化に努める。そのために、とくに次の諸点に意を用いて、学校経営の充実を図る。
 (1) 学習指導の充実
  ①指導計画の改善充実を図り、とくに教科領域間の関連づけ、指導目標の明確化、内容の精選に努める。
  ②ひとりひとりの児童・生徒の学習を充実させ、創造性の関発に留意して、学力の伸長を図る。
 (2) 生活指導の徹底
  ①4領域との関連のうえに、生活指導の計画を検討し、その充実を図る。
  ②健康で安全な生活の指導に留意するとともに、たくましさを養い、児童・生徒の自己実現を助長する。
 (3) 特殊教育の振興
  ①心身に障害をもつ児童・生徒についての理解を深めて、より適切な指導を行うよう努めるとともに、特殊教育関係機関との関係を密にする。
  ②特殊学級においては、児童・生徒ひとりひとりの特質をはあくして、個人指導の徹底を図る。
 (4) 幼稚園教育の振興
  ①幼稚園教育の特性を重視し、義務教育との関連を考慮して教育課程の改善を図る。
  ②幼児の特質に応じた指導法をくふうし、いきいきとした活動をうながして、経験を豊かにさせる。
 (5) 教育相談の重視
  ①教育活動における教育相談の重要性を認識しその共通理解を深める。
  ②児童・生徒の指導に教育相談的手法を生かすように努める。
    なお、港区立学校の共通努力点として「健康教育の推進」を設定し、その具体化を図る。
 
関連資料:【学校教育関連施設】