■進路相談所の開設
個性や才能の伸長をねらいとして、昭和26年(1951)9月、区立愛宕中学校の一室に進路相談所が開設された。経営主体は、財団法人日本職業指導協会で、所長は愛宕中学校長野口彰、相談主任には元労働省婦人少年課長・立教大学藤本教授のほか多数の権威者が当たり、東大はじめ各大学の心理学教授、中西区長並びに区内の高校及び中学校長も顧問または参与として運営に尽力している。
心理学を応用した精密な科学的検査で職業適性や進学適性を行い、来談者の向上進歩を図る相談に応じることを目的としているが、また、勉強の嫌いな者や、精神薄弱な者に対しての相談や指導もできた。
当時、このような相談所は、東京教育大学(現在の筑波大学)と愛育研究所児童相談部と愛宕中学校の進路相談所だけであった。相談日は、毎週土曜日の午後1時から4時までで、対象は、主に区内の中学生と高校生である。
■視聴覚教育振興[図32]
昭和28年3月、港区役所並びに港区教育委員会は、視聴覚教育振興のために、新たにRCA映写機(16ミリの最新式発声映写機)2台、幻灯機1台、新版スライド100本を購入した。RCA映写機は港区教育委員会社会教育課で貸出し、その他にフイルム、スクリーン及び技師派遣を、運搬料の実費以外すべて無料で行った。
また、貸出用幻灯機は、芝支所2台、麻布・赤坂支所に各1台あり、スライドは社会科、理科などの教材用と娯楽用など各種あった。
[図32] 港区立小中学校視聴覚教材所有状況・昭和28年5月31日現在
■視聴覚教材目録完成
昭和31年、港区教育委員会は、学校や区民一般に貸出しをする幻灯スライド、紙芝居、図書、レコード、映画フィルムの目録を完成させた。編集は、幼児向、低学年向、高学年向、教材用に分けられ、区内小、中学校並びに社会教育関係団体が、教材または社会教育用として使用する場合に貸し出した。
■教科書センター開設
昭和32年、区立鞆絵(ともえ)小学校に教科書常設図書館(教科書センター)を開設した。これは、小学校、中学校、高等学校の各課程において使用されている教科書を一室に集め、その参考書等もすべて取揃えて、教員の研究に供するほか、父母にも参考として開放した。閲覧は、毎週火・木曜日の午後1時から4時まで。
■教育相談室開設
昭和34年5月、区立愛宕中学校と城南中学校に、港区として初めての教育相談室を開設した。相談内容は、子供の進路選択や学業成績に性格異常・精神薄弱児などの指導である。相談日は、愛宕中学校が毎週金曜日午後1時半から4時半までで進路相談のみ、城南中学校は、毎週木曜日の午後1時半から4時半までで、進路並びに性格異常その他の相談を受けつけた。
関連資料:【学校教育関連施設】