しかし、相談にあたる教員の人数や各種テストを実施する設備も不足がちのため、十分な相談活動ができなかった。そこで、港区教育委員会は、本区が開設した教育相談に対する各方面からの関心と、その効果への期待にこたえるため、翌35年9月、内容・設備の拡充を図った。
構想も新たに再出発した教育相談設置校は、区立城南中学校と神明小学校である。相談に必要な器具や知能・性格・興味・職業適性・体力等の検査・調査を行う設備・備品を整備をするとともに、担当員も開設当初の3人から12人に増やした。相談日は、毎週火曜日の午後1時から4時までであった。
昭和35年度に扱った相談件数38件、相談回数にして154回、殊にこの年度で目立つことは、性格や問題行動に関する相談が非常に多いことである。この種の相談件数が増えたということは、世間に性格に偏りのある児童や問題生徒が特に多くなった理由のみではなく相談室がどのような機能で、どのような教育効果に資するものかということが理解されてきたためである。
[図34] 昭和36年度に扱った相談件数
[図35] 神明相談室の扱った相談内容
[図36] 城南相談室の扱った相談内容