「文化財保護法」(昭和25年5月30日)の趣旨に基づき、本区では昭和27年から『港区政ニュース』で区内の文化財の紹介を始め、「三田演説館」「国立自然教育園」「善福寺の大いちょう」など重要文化財、史跡、天然記念物を13回にわたって掲載した。
それらの文化財を実際に見学する催しとして、文化財めぐりが実施されたのは昭和28年3月22日(彼岸会)のことである。当日は84歳の高齢者も含めて60名が参加した。コースは、浅岡ままたきの井戸―増上寺三解脱門―紅葉館跡―金地院堀杏庵の墓―大倉集古館―氷川神社―佐藤一斎の墓(深広寺)―龍土軒―乃木神社であった。
この催しがたいへん好評であったため、同年だけでもこのあと2回の文化財めぐりが実施された。また、このことを一つの契機として、区民の文化財に対する関心の高まりが見られるようになり、以後毎年実施されている。