青少年の社会教育活動の場として、待望久しかった港区青年館が完成したのは、昭和39年6月のことであった。
東京都においては、同34年に「皇太子殿下御結婚記念事業」として八王子市に八王子青年の家を建設し、その後、順次各地に青年の家が建設されていったが、都心部の青少年教育関係者から、身近な所にも活動の場を設けるよう強い要望が出されていた。このような状況の中で、都は各区が建設する青年教育施設に対して、その経費を補助することを決定した。昭和35年度に、台東、江東、大田、渋谷、中野の各区に青年館建設が始められ、38年度分として、港区青年館の建設補助が措置されたのである。
このような経緯を経て、港区の旧庁舎別館の4、5階部分に青年館が誕生したわけである。「青少年の楽しい憩いの場」「たまり場、よい友人関係をつくる交流の場」として、活動の拠点を得たことによって、区内の青少年活動は活気をとり戻すこととなった。
青少年の施設利用だけでなく、社会教育事業の重要な展開の場としても、青年館の建設は大きな意義を持っていたのである。
ちなみに、同年には、夏休み親子教室、青年学級、成人学校等が青年館を会場として開設されている。