その様子を同年7月21日付の『港区政ニュース』から拾うと大略次のようであった。
〝家庭円満術とは〟これも六月十七日から七月十七日までの一ケ月間、南山小学校に開設された港区婦人学級の話し合いのテーマです。このほか「みんなでこどもを理解しよう」「どうしたらよい母親になれるでしょう」などのテーマで、区内の二一〇名のお母さん方がふだん着のまま、気楽に集まり、みんなで考えたり、話し合ったりしました。
私たちの毎日の暮しの中には、一人ではとうてい解決しない身近な問題がたくさんあります。たとえば「近所づきあい」「こどもの問題」「姑さんとの仲」など、いろいろな日常の悩みがあります。みんなが裸になって汚れを出し合い、話し合い、助け合って、お母さんたちだけで解決の道を見出しました。
しかし、この学級の良さは、解決そのものではなくて、みんなで話し合い、考え合うという、その事なのでした。
「私でも人の前でものが云えるんだという自信を得ました」「物わかりが良くなったと子どもからほめられました」「家での話題が豊かになりました」「気持ちが明るくなりました」など、婦人学級参加のお母さん方に感想をうかがえば、どんな効果があったかよくわかります。
このことから、従来のいわゆる「うけたまわり学習」からの脱却をめざし、婦人の自立を目標においたことがよくわかる。
また婦人学級の大きな特徴は、学習終了後も自主的に学級生がグループをつくり学習を継続することにあった。昭和43年度までの実施状況とグループの誕生数は[図12]のとおりであるが、これらのグループは本区の婦人活動の中核を担うまでに成長したものが多い。
また、個人的にも、これらのグループを出発点として、多方面で多彩な活動を始めた人々がいる。
[図11] 婦人学級(『港区の社会教育』)
[図12] 婦人学級実施状況