調査研究の入口となる史料

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 本巻に収録する第6章は、旧『港区教育史』発刊の直前、昭和59年(1984)ころまでの約20年間が対象である。同章の執筆者は、同時代に自らが経験した事実について、自身が利用し熟知している資料に基づいて記述を行ったものと思われる。しかし、今後、読者がこの時期の教育や教育行政について調査を行おうとする場合、同様の便宜は望みにくい。以下は読者が自ら調査を進めるための入口を案内するものである。
 調査の入口として、まず、以下で紹介する『学校教育指導要覧』『港区の社会教育』『港区の教育』『指導室・教育センター要覧』などの史料を参照することは有益である。これらは、港区教育委員会の刊行物等であって内容に信頼性があり、港区全体の概況を知り得る内容を持ち、長期にわたって同質性を持って作成されたという特性を有しているからである[図1]。
 例えば、本書第6章で言及されている「研修」「移動教室」「夏季学園」「心身障害教育」「家庭教育学級」「スポーツ教室」などの事項についてより詳細に調べたければ、これらの史料の毎年の冊子から該当部分を参照して、変遷の概要を把握していくことが、本書『港区教育史』を参照した上でさらに調査を進める入口になるだろう。
 本章に付した注釈は、これらの史料によった部分も多い。これらの史料で把握した内容と照らし合わせることで、他の史資料を位置付けていくこともできる。

[図1] 港区の教育関連の刊行物4種

左上から時計回りに『学校教育指導要覧』『港区の社会教育』『指導室・教育センター要覧』『港区の教育』。