教科書は採択後3年間は変更されない。したがって教科書の改訂も概ね3年ごとに行われるので、昭和43年(1968)から昭和60年までの間に7回改訂されている。教科書の改訂でも部分改訂と全面改訂がある。これまでの7回の改訂のうち、46年度本と55年度本は共に学習指導要領の改訂にともない全面改訂をした教科書である。このほか教科書は5回改訂されているが、いずれも部分改訂である。次にこれら教科書の変遷についてながめてみよう。
[図4]昭和58~60年度採択教科書一覧
43年度本は40年度本の補充と吟味が行われた程度の改訂であるが、46年度本は昭和43年7月告示された改訂小学校学習指導要領に準拠してつくられている。したがって当然学習指導要領改訂の基本方針(1)調和と統一、(2)基本事項の精選と集約化、(3)能力・適性への配慮、(4)授業時数の弾力的運用などの趣旨をうけて改訂したので、指導内容の精選と、組織的・系統的な学習指導の徹底が改訂の中心となっている。
49年度本は46年度本の補足的な改訂である。次の52年度本あたりから、教育課程審議会の学習指導要領の改善の方向が示されていたので教科書の内容も、学習内容の精選・重点化・系統化が行われた。
55年度本は昭和52年7月に改訂が告示された小学校学習指導要領に準拠してつくられた教科書である。この教科書で特に注目すべき点は、各教科の学習内容を思いきり精選してあることである。
このような大きな改訂のあと58年度本は部分改訂が行われている。この時の改訂では学習内容の精選と授業の改善がより一層強く求められ、単元と教材数の削減や学習の系統化が図られている。更に61年度本では、「ゆとりと充実」を図るため学習内容を基本事項に精選し関連、系統をより明確にしている。
関連資料:【図表および統計資料】学校教育 区立小学校使用教科書一覧