家庭・地域の問題

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 児童の健全育成は教育の大きなねらいであり家庭や地域社会の役割はきわめて大きい。
 
■子どもと家庭・地域社会
 まず、家族構成をみると、港区の家族形態の特徴は、家族の人数は4人以下が90パーセントであり、若い世帯においては子どもの数は1人又は2人という核家族化と少子化である。このため、伝統的な家庭文化の継承や児童の自律性や社会性の形成などの面で、問題が指摘されている。
 また、主婦就労の家庭が増加するにつれ、いわゆる「鍵っ子」が多くなってきた。そして家庭は消費生活の場としてのみ機能するようになった。さらに、家庭電化、食生活のインスタント化などがすすむ中で家事が省力化され、児童の勤労の尊さを学ぶ機会が少なくなってきたとも指摘されている。
 地域の連帯性をみるために、昭和55年(1980)11月に行った区民世論調査「隣近所との付き合い」によると、よく付き合っている21パーセント、普通に付き合っている43パーセント、あまり付き合っていない39パーセント、まったく付き合っていない7パーセントとなっており、「親しくつき合う」比率が年々低下してきている。
 
■児童の行動や性格上の問題点
 児童の日常の行動から学校における指導上の問題としてよく指摘されたのは、忍耐力がないことと、人に対する思いやりに欠けることである。
 性格面では、57年度から実施している性格検査の資料をもとにして分析すると、次のようなことがいえる。
 児童のほとんどは安定した性格傾向をもっているが、一方不安定で不適応感をもつ児童も30パーセント近くいるようで、それらの児童は、自己統制力社会性の低いことが特徴である。そのほか、登校拒否を含めて神経質傾向など特定の部分に問題のありそうな点をもつ児童もみられる[注釈8]。
 
■非行及びその他の問題行動
 港区内の警察署で扱った昭和56、57年度の非行少年の補導状況[図48]をみると、小学生の非行は「窃盗(せっとう)」「深夜はいかい」が多い。
 港区に居住する児童の非行化は、他区に比較すると少ない。だが非行の芽がでてくる可能性は予想される。59年以降更に減少の傾向である。

[図48]港区非行少年の補導状況〔小学生〕
昭和56・57年の港区内6警察資料による。ただし、()内は港区居住者延べ人数。