学校の創意ある活動

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 「ゆとりの時間」の活用法について、前記の「教育課程移行のための手引」では、次の4点をあげている。
 (1) 給食時間の延長、給食及び給食後の休憩時間配当は45~50分が通常である。この時間配当は給食指導を行う教員はもちろん生徒にとってもかなり忙しい。この時間を10分延長することでかなりの時間的、心理的余裕を与える。
 (2) 休憩時間の延長、区内中学校の休憩は10分間が通常である。この短時間では次校時への準備が遅れがちになる現状から、2校時、3校時に15分休憩時間をそう入する。
 (3) 全校集会(朝会)の時間の設定。区内の中学校の大部分は週1回全校集会を実施している。1校時にくい込まないように時間を設定する。
 (4) 学級の時間、学年の時間の設定。学級での新聞編集や学級園作業などの作業活動、学年集会などの時間にあてる。
 すでに前年(昭和52年)実施にふみきった小学校の活動の様子やこの手引書をふまえて、昭和53年より区内各校ではそれぞれの校内の実態に即応した計画をたて実施した[注釈3]。
 各校の「ゆとりの時間」活動の様子をまず日課表からみると、三河台中学校では、月曜日、金曜日に、「三河台タイム」を設け、生徒会活動や学年・学級の諸活動にあてている[図2]。このほか、文化祭・運動会など学校行事の準備の時間にも利用するなど、年間を通し計画的に活用している。区内各校もほぼ同様なパターンで日課表を組んでいるが、はっきりと「創意の時間」とし、情操を豊かにするための合唱コンクールや音楽会をこの時間のプログラムとして年次計画をたてたり、第2校時と第3校時の間に「長休み時間」を設けた例がある。
 御成門中学校を見ると、給食と昼休みの時間を十分にとった余裕のある日課表を組んでいる。また高松中学校では創意ある活動の時間「高松タイム」に週1・5時間をあて、教育相談、生徒会(集会、中央委員会、役員選挙、総会)、学年会(集会、移動教室準備、合唱コンクール練習、運動会係決定など)、兄弟学級、クラブ活動(部活動説明会、クラブ発表会など)、避難訓練、清掃美化、レクリエーション(カルタ会、卒業生を送る会、サヨナラ球技大会など)など行っている。これらの諸活動の中の兄弟学級とは学年のタテ割り編成をした学級で、この学級は上級生と下級生が一体となり行事に主体的に参加し活動するほか、学習内容としては学習のしかた・定期考査の準備・高等学校進学についての成功談・失敗談など上級生が下級生に対するアドバイスなどをする指導の場である。このように、校内の組織を縦横に駆使して、生徒の自己実現を図る場を高松タイムはつくり出している。

[図2]日課表〔三河台中学校〕

関連資料:【文書】中学校教育 港中学校裁量の時間の指導計画