使用教科書

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 昭和43年(1968)から昭和60年までの本区で採択を決定した教科書はいろいろあるが、昭和58年度採用教科書を例にあげると[図4]のとおりである。

[図4]使用教科書一覧表

 これらの教科書は、昭和43年から昭和60年までに5回改訂している。すなわち、44年度本、50年度本、53年度本、56年度本がそれである。
 この中で50年度本だけが旧版の4分の1改訂で、他はすべて全面改訂版である。次にこれら各年度本の特色についてまとめてみよう。
 
■44年度本
 これは41年度本の改訂版で、改訂時に「調和と統一」「能力適性への配慮」を中心とした次期改訂が明らかであったのでその方向をめざした改訂であった。改訂内容の共通点は、内容を精選し系統化を図っていること、基本的教材を明確にして編集されていること、用語、概念を整理し、モデルを活用したり資料の更新、充実を図り生徒に理解しやすくしたことなのである。
 この年度本の中には、数学のように数学教育の現代化のさけばれる中での改訂であり、集合、関数的な考え方に重点をおいた教科書も出現した。
 
■47年度本
 昭和47年度から新学習指導要領が完全実施されたが、これに準拠してつくられた教科書で、基本的事項の精選と系統化に力を入れ、生徒の能力差に応ずる対策として、発展的課題や自由研究などの課題が付加されている。
 教科によっていろいろ特色があり、数学などでは数学教育の現代化思潮の影響を受け、数・式・関数・図形・確率・統計・集合の理論などを指導項目として、程度を高めている。また理科では探求学習を重視し生徒自身で問題解決をするため「疑問」「考察」などの項目を採りあげている。改訂である。
 
■50年度本
 この教科書は47年度本の4分の1
 教科により改正点は違うが全般的には基礎的内容に重点をおいたこと、新教材の位置づけや入れ替えを行ったこと、資料中心の教材構成にしたこと、課題意識を明確にし導入をくふうしたこと、などの特色をあげることができる。理科などでは探求学習は時間がかかり教材の消化ができないという反省から、実験・観察・演示実験などで思いきった精選をしているし、探求と説明の区別を明らかにしている。
 
■53年度本
 この教科書は50年度本の全面改訂である。53年度本は48年度教育課程改善の諮問に対する答申の中間まとめが発表されていたので、その改善方針をふまえてつくられたといってもよい。この改善方針は、①内容の精選と重点化 ②教材の課題性の強化 ③生徒の問題意識の啓発の3点におかれている。改善点は教科により異なるが、共通点は、学習内容の精選であり重要な教材に重点をおいたことである。したがって単元数を大幅に減らしている。また理科では探求学習、数学では現代化の見直しが行われ、社会科では内容の統合組替が行われ、美術・書写などでは鑑賞教材を多くとり入れるなど、それぞれ工夫されている。
 
■56年度本
 56年度本は昭和52年の学習指導要領に準拠してつくられた。したがって各教科共、教材の精選と重要な教材に重点をおいており、知識的な内容の過密化や高度化に歯止めをかけ、内容を平易にし、教材のねらいや取り扱いの程度を明らかにし、小・中・高校の学習内容の重複や深入りをさけ、教育内容の大幅削減、単位時間の削減などにも対応している。また生徒の個性、能力に適応するため、課題や自由研究などを設け、各種資料や鑑賞教材を豊富にして生徒に興味をもたせるようにしている。
 
関連資料:【図表および統計資料】学校教育 区立中学校使用教科書一覧