昭和43年度から60年度の各校の校内研究の移り変わりを同じく前の表をもとに、第4次学習指導要領の改訂が行われた昭和52年以後とそれ以前の二つの時期に分けて傾向をながめてみよう。
■昭和43年度から51年度まで(9年間)
この期間の分野別の傾向は、「教科・領域の指導」が63パーセント、「学年・学級経営」と「教育課程」が11パーセント、「生活指導」が8パーセントとほぼ、18年間全体の傾向と同じになっている。また、この時期に数は少ないが「教育評価」や「健康・安全教育」がとりあげられている。道徳、特別活動の実践的研究も昭和47年から50年度にかけてかなり集中している。これは第3次学習指導要領の改訂で、道徳、特別活動が見直されてきたことと呼応している。
「教育課程」の分野では、「教育目標の具現化」が昭和48年度から51年度までの間に集中している。第3次学習指導要領が改訂になり、教育目標の検討が行われ、その具現化の手だてが研究・実践されたことがわかる。
■昭和52年度から60年度まで
分野別にみると、「教科・領域の指導」が65パーセント、「学年・学級経営」が12パーセント、教育課程が11パーセント、生活指導が8パーセントとなり、教科・領域指導がやや多くなっているが、全体的な傾向には大きな変わりはない。
各分野の内容を見ると、教科・領域の指導では、「意欲・積極性」が15パーセントを占め、学習意欲を重視して指導しようとする傾向が強く出てきたことがわかる。また、前の時期にないものとして、「よく考えて正しく判断する」「生き生きした学校生活」がある。これは、第4次の学習指導要領の改訂の主旨をふまえて研究がなされたことがわかる。更に、「気品と知性を育てる」は、区の教育目標をふまえた研究であり、「国際理解を深める」「豊かな心を育てるための経験活動」などは、港区としての地域的特性と時代の要請にこたえたものといえよう。
教育課程の分野では、「教育目標の具現化」が主であったが、昭和52年度から55年度にかけては、「教育課程の編成」に重点が置かれてきている。なお、「学校裁量の時間の活用」についての取り組みもあげられている。
「生活指導」の分野では、「基本的生活習慣の育成」と「生徒理解」をもとに「思いやり」や「意欲」、「自主性」など心を育てる面がねらいとしてあげられている。
その他の項目のうち、昭和60年度になって「帰国子女の適応指導」をとりあげている学校がある。これは、海外からの帰国子女が多くなり、どう受け入れるか学校の対応問題になってきたことを意味するものである。
関連資料:【文書】中学校教育 <参考>校内研究の動向
関連資料:【図表および統計資料】教育行政 中学校 割合/生徒数(国公私立)(公立のみ)