この学級の教育目標(小学校・中学校共通)は、できるかぎり身辺の生活を確立、処理することができること。
[図5]週生活時程表・氷川小学校〔昭和43年度〕
進んで集団生活に参加するとともに、社会生活への理解を深めること。
経済生活及び職業生活に適応していくための知識技能を身につけることなどである。また指導は子どもを取りまく環境や一人一人の身体の状況、性格行動の傾向などを見きわめて身体的、情緒的な側面の調整や安定を図っていくように努めている。
一人一人の発達の程度や経験獲得の状況をよく理解するとともに、その個人差に応じた指導を行うようにする。そのため具体的な生活場面において、能力に応じた課題を与えるとともに、成就感や満足感を味わわせ、それにより学習に対する興味や関心を深め、徐々に自発性、自主性を高めていくように指導している。また基本的な生活習慣を身につけさせるとともに、学級集団に参加し、それぞれの役割を果たしていこうとする意欲を高めるよう配慮し、なるべく画一的な一斉指導をさけ、具体的、現実的な生活場面における直接的な経験を通して、常に反復練習を行い、継続的、発展的な指導を行っている。
指導内容は精薄児が将来社会的に自立していくために最少限身につけなければならないと考えられる経験を、できるだけ具体的に、しかも、ある程度の系統を考えて用意されている。しかし、一人一人の知的障害の程度やその発達に応じて、指導すべき内容を加えたり、除いたり弾力性、融通性をもった指導を行う。また、指導内容は小学校と中学校との関連性に特別な配慮がなされている。更に、中学卒業後は、社会教育の一環として設けられたこの学級卒業生のための青年学級で、社会人、職業人としてよりよく適応できるような教育を受けることができる。
関連資料:【文書】特別支援教育 氷川小学校ぎんなん学級の観察記録