国際理解教育の推進

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 港区には60カ国を越える大使館・公使館があり、又は日本経済の発展にともなって商社関係で本区に在住している外国人も多い。そのため、外国籍の児童・生徒が区立学校に相当数在籍している状況にある。更に、外国生活を経験した帰国子女もかなりの数にのぼっている。
 従来から本区の国際化が進展する中にあって、区教育委員会は、昭和48年度の「学校教育のねらい」において「国際社会において信頼される日本人の育成をめざす」ことを初めて明示した。また、昭和55年度には、「学校教育のねらい」の内容として「国際社会に生きる子どもの育成を図る」ことを付加し、学校での具体的実践活動を期した。
 更に、今後ますます日本及び本区の国際化が進展することに鑑み、区教育委員会は、国際感覚を身につけた児童・生徒を育成するために、昭和57年度に「港区国際理解教育促進委員会」を設置した。この委員会の設置要綱は、次のとおりである。
 
  港区国際理解教育促進委員会要領 (昭和五八年六月一〇日施行)
 1 目的
   区立幼稚園・小学校・中学校における国際理解教育を推進するため、国際交流及び国際理解教育の具体的方策について研究協議する。
 2 組織
  (1) 本委員会に、委員長、副委員長(小・中学校)部会部長(小・中学校教頭三名)・委員(教諭一三名・教育委員会 指導室長・指導主事一名)をもって構成し、教育委員会が委嘱する。
  (2) 本委員会に、姉妹校部会・JRC部会・事業部を置く。
  (3) 姉妹校部会は、姉妹校締結校の代表をもって構成する。
  (4) JRC部会は、JRC加盟校の代表をもって構成する。
  (5) 事業部会は、交流分野の担当委員をもって構成する。
 3 運営方法
  (1) 全体会は、原則として年三回、教育長の承認を受けて委員長が召集する。
  (2) 各部会は、部長が委員長の承認を受けて必要に応じて召集する。
 4 活動
  (1) 全体会は、目的達成のため各部会間の連絡情報交換及び、今後の国際理解教育の進行指針について協議する。
  (2) 姉妹校部会は、姉妹校間交流の情報交換及び、今後の具体的方法について協議する。
  (3) JRC部会は、JRC活動の情報交換及び、今後の具体的方法について協議する。
  (4) 事業部会は、海外の児童・生徒の交流の具体的内容・方法について研究協議し、その成果を全体会に提供する。
 5 報告
  (1) 各部会の成果について部長がとりまとめ全体会に報告する。
  (2) 各部会からの成果報告を委員長がとりまとめ教育長に報告する。
 
 なお、本委員会は、「港区における国際理解教育促進に関する報告書」(昭和59年3月)の中で、次の3点に関して提言した。
 (1) 国際理解教育の意義と必要性
 (2) 港区における国際理解教育の現状分析
 (3) 今後の具体的展開のための観点
 特に、(3)については、次の観点が考えられている。
 ① 各教科・道徳・特別活動の相互関連を図りながら、児童・生徒の発達段階に即した国際理解教育の内容を抽出し、指導計画の中に目標・内容・指導の方法を明確にする。
 ② 国際交流活動の場の設定を工夫する。
 ③ 国際理解教育に関する情報の収集と管理、提供のあり方、また、小・中学校用の指導の手引書を作成する。
 ④ 国際理解教育推進のための事業の充実を図る。
 なお、昭和59年度において区教育委員会及び区立学校が④について具体的に推進している事業には、国際理解教育研究協力校並びに推進校の活動の促進がある。
関連資料:【くらしと教育編】第14章第4節 (2)姉妹校提携とJRC活動について