文化財

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 昭和40年代に入り、文化財に対する区民の関心は飛躍的な高まりを見せた。地域の再開発が進むにつれて、数多くの埋蔵文化財が発見される一方で、伝統的な文化の保存に対する認識が深まってきたためである。
 当区では、このような時代的要請を受けて、昭和39年に識者、研究者16名からなる文化財調査委員会を設置した。この会は、過去の貴重な文化財を調査し、記録することを目的としたが、毎年1巻ずつ研究集録を発刊し、52年度までに『港区の文化財』という表題で14集を重ねた。この集録は区民に好評であり、文化財に対する区民の認識を更に深めるところとなった[図5]。

[図5]『港区の文化財』

■文化財標示板
 区民の文化財認識の一助として文化財標示板が設置されるようになったのは47年度からである。これは国・都の指定文化財を除き、区の歴史上重要な名所・史跡・有形文化財を説明するものであるが、52年度までに40カ所に標示板が建てられた。その後、昭和53年の「港区文化財保護条例」制定に伴い、「港区指定文化財説明板」と名称を変更し、昭和60年までに10カ所に説明板を建てている[注釈9]。
 
■文化財めぐり
 区内の文化財を実際に見学して、文化財に対する認識を深めようとする試みは、従来から不定期に実施されていたが、45年度から春秋の2回、定期的に実施されるところとなった[注釈10]。
 毎回、常に定員を上回る希望者があり、文化財に対する区民の関心の高さをうかがわせる。年によっては親子参加の文化財めぐりなども実施され、好評であった。