昭和48年(1973)9月、アラブ諸国は原油価格の大幅な値上げを通告した。その影響はわが国において、ことのほか大きく、高度経済成長は一頓挫をきたしたのであった。
東京を中心として、トイレットペーパーや洗剤に代表される狂乱物価を招いたことは記憶に新しく、日常生活の必需品を自ら生産することがないという、消費中心の都市生活者の潜在的な不安が噴出した出来事であった。「消費は美徳、消費者は王様」とはやし立てられ大量生産、大量消費にどっぷり浸っていた生活の見直しを、いやおうなく迫られる状況の中から、生活課題解決のための学習の必要性が説かれた。
〝物から心へ〟と価値観の転換が求められたのも、50年代における大きな特徴であった。