文化団体育成については、従来その意義が認識されながらも、そのための活動が活発になされてきたとは必ずしもいい難いものであった。たとえば、昭和54年版『港区の社会教育』(港区教育委員会社会教育課編)は、その問題について、次のように述べている。
芸術文化は人生にうるおいをもたらし、情操を深め、人間性を高める上で欠くことのできないものである。これまでの芸術文化事業は、必ずしも十分とはいえなかった。芸術文化の普及と発展のためには、各種の芸術文化行事や講座、学級の充実、強化が今後の課題である。
そのほか、日ごろの文化活動の場としての施設、設備の充実をはかるとともに、文化活動の核となる文化団体の育成に努め区民の文化水準の向上を図ることが必要である。
区内には趣味のグループやサークルとして、文化活動に関係するものは数多くあるが、それらの相互の連携は必ずしも満足のいく状況ではなく、文化活動の普及には、組織化が欠くことのできない条件であると考えられていたのである。
そのような状況の中で、港区茶道華道連盟、港区俳句連盟、港区珠算振興会などは、早くから組織化され、展覧会や大会を恒例化して開催するようになった。これは、社会教育行政の大きな成果といいうる。また、青少年の文化活動については、小学校の鼓笛隊や青山少年少女合唱隊に対する助成が昭和40年代から始められ、地域における音楽活動の振興に寄与している。