(1) 人口と子育て家族のライフスタイルの変化

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 平成期の港区幼児教育は、①港区内の人口動態、②子育て家族のライフスタイルの変化、③幼児教育に関する国の施策、に大きく影響されつつ展開されることとなった。
 すなわち、先に述べたような平成初期の人口減少の中で、3~5歳人口は昭和64年(1989)の4221人から平成8年(1996)年の2798人へと減少し、平成9年からは港区人口全体の増加に応じて3~5歳人口も増加に転じ、平成20年には4338人に回復し、さらに平成31年には8263人まで増加している。
 このため、平成初期には幼稚園の小規模化が起こり、区では区立幼稚園の適正規模・適正配置について諮問を行った。適正配置については小学校・中学校でも議論されることになるが、幼稚園の場合、私立幼稚園との「共存共栄」が課題とされた点において特徴的である。
 また、平成9年以降の人口増加において、主に寄与したのは新たに建設されたマンション群の新住民であった。新住民は基本的に核家族であり、共稼ぎが多い。区内の保護者全体で見ても、共稼ぎの割合は平成26年に50パーセントを超えている。故に、平成9年以降の学齢未満児の増加は幼稚園のニーズを再び拡大させたというよりも、保育ニーズの拡大を生み出し、深刻な待機児童問題を生み出すことになる。待機児童の解消が区にとって深刻な教育問題として浮上することになったのである。