平成期の小学校教育の特徴として、①港区学齢期人口の増減、②国による教育の地方分権化、③外国人人口が多いという港区の独自性への対応という3点から整理することができるだろう。
まず昭和40年代から平成8年(1996)にかけて港区の学齢期人口が減少を続けたことを背景に、昭和62年(1988)に港区立学校適正規模等審議会が設置され、その答申に基づいて、平成2年に「区立学校適正規模等の答申について」の基本的方向づけが決定された。それに基づいて学校の統廃合が次々と進められていく。対象となったのは創立100年を超す学校も多く、それぞれの学校が町の維持存続において中心的な役割を果たしてきたことから、住民の合意をいかに獲得するかなど困難を極める作業だった。そのため、単に閉校するだけでなく、周辺の小学校とともに統合し、新たな名称の学校として存続する統廃合の形態を取って進展する場合が多かった。
平成9年以降に学齢期人口が増加に転じることになったが、基本的に学校の新設ではなく、むしろ既存校の教室を増やすことで対応することになった。平成期における新設校は港陽小学校が唯一で、新たに都市開発された台場地区に平成8年に開校した。港陽小学校は同地区に同じく新設された港陽中学校と統合され、平成22年に小中一貫教育校お台場学園港陽小・中学校として改組されている。
関連資料:【文書】教育行政 港区立学校適正規模等審議会の設置
関連資料:【文書】教育行政 区立学校適正規模等審議会・最終答申(平元)
関連資料:【学校教育関連施設】
関連資料:【くらしと教育編】第1章第2節 (3)高度経済成長期以降