(1) インクルーシブ教育の実現

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 障害児教育は小学校(第2節)・中学校(第3節)において主に展開されてきたが、平成期のそれは、①障害者の権利の国際的な進展、②平成期に進められた障害概念の拡張、によって大きく変化することになった。まず平成18年(2006)に国連総会で採択された障害者権利条約は、「障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されない」こと、「地域社会で生活する平等の権利を有する」ことを前提として地域社会に「包容」「参加」するための措置を締約国に義務づけるものだった。障害者権利条約は、平成26年に日本において発効し、ここに、日本の学校教育において「インクルーシブ教育」をいかに実現するかが課題となった。
 また、この時期、障害概念も大きく拡張されることになった。すなわち、平成初めより、知的発達の遅れはないが学習に困難を示す「学習障害」が次第に注目されるようになり、さらに学習障害や自閉症を含んだ概念としての「発達障害」が意識されるようになっていく。