これらを背景として、国では平成19年(2007)より、従来の特殊教育制度を特別支援教育制度へと転換し、養護学校を「特別支援学校」、特殊学級を「特別支援学級」と改称する。そこでは、従来、特殊教育の対象とされてこなかった学習障害児(LD)や注意欠陥多動性障害児(ADHD)、高機能自閉症児などにも対象を拡張することとなった。さらに障害者差別解消法の施行により、教育委員会に対して合理的配慮の提供が義務づけられることになった。
港区での特殊学級の呼称は、「精神薄弱学級」(平成5年まで)、「知的遅れ学級」(平成6・7年)、「知的発達障害学級」(平成8~18年)、「特別支援学級」(平成19年以降)と変化していくが、この背景には以上で述べた新たな権利思想、障害概念の拡張があった。