第5節では、港区内に所在している、区立小・中学校以外の学校として、具体的には国立大学、都立高校、私立大学、私立中高等学校、専門・専修学校などを対象として、その特徴的な変化を取り上げている。
国立大学において特筆すべきは、平成15年(2003)の「国立大学法人法」の制定である。港区に所在した東京水産大学は、平成15年10月に東京商船大学と統合し、翌4月から独立行政法人化し、東京海洋大学となった。また、平成17年には政策研究大学院大学が新宿区から港区に所在地を移し、国立大学法人は港区内に2校となった。
都立高校においては、学齢期人口の減少に加えて生徒の多様化、社会経済の進展などの変化に対応して、平成9年に「都立高校改革推進計画の概要」が東京都によって出された。計画に基づき、既存高校を統合・改編して総合学科高校、単位制高校、中途退学や不登校に対応した「チャレンジスクール」などが新設された。
区内には4年制の私立大学、2年制の私立短期大学も多く所在する。平成初期に第2次ベビーブーマーの大学進学が終わると18歳人口は次第に減少に転じていった。ただし社会の高学歴化の進展により、4年制大学進学率は平成期の間に約20ポイントの上昇となる。これら二つの要因から、区内・4年制大学の私立大学5校は、平成期に新しい学部の設置や大学院の研究科を新設するなど、拡大と改組を進めていった。拡張傾向にあった4年制大学に比し、短期大学については、1校は4年制大学に転換し、2校は閉校し、現在残っている短期大学は1校のみと、総じて減少した。
区内の私立小・中学校、高等学校は、学齢期人口の減少・私立学校受験の増加という変化に対応して、多様な改革が試みられた。
専門学校・各種学校に目を転じると、専門学校への進学率は平成期に入って上昇したが、平成16年以降はやや減少傾向にあり、区内の専門学校も4校が閉校した。各種学校は、外国語教育や学校法人が設置したインターナショナルスクールなど語学系の学校が多い。平成期には区内にあった各種学校6校のうち2校が閉校している。
関連資料:【学校教育関連施設】