内閣府が発表している『男女共同参画白書』(令和元年版)の「共働き等世帯数の推移」を見ると、共働き世帯数は全国的に増加傾向にある。平成期の初めには専業主婦世帯と共働き世帯はほぼ同数であったが、平成9年(1997)に共働き世帯の方が多くなり、平成30年には共働き世帯が専業主婦世帯の倍近くを占めるようになった[図8]。その背景としては、昭和60年(1985)に男女雇用機会均等法が制定され、女性が働き続ける条件の整備が進められたこと、バブル崩壊後の長引く不景気の中で、夫の収入だけでは家計の維持が困難になったことなどが挙げられる。
港区でも、「港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査報告書」(平成26年2月)によれば、区内の保護者の51・5パーセントが「共働き」と回答している。仕事についていない理由(複数回答)の中にも、「子どもを預ける所がない」(36・6パーセント)、「仕事が見つからない」(10・9パーセント)という回答が含まれていることから、共働きでない家庭であっても、条件が合えば働きたいと考えている保護者がいることがわかる。
■待機児童解消への対応
共働きの家庭では、働き方に即して保育施設を選び、子どもを預けることになる。平成期に入ってから保育所の需要が高まり、港区では待機児童のいる状況が続いた。待機児童解消に向けた対応策は、区の重要課題として位置づけられ、認定こども園・区立認可保育園の新設や改築・改修、緊急暫定保育施設の整備や私立認可保育園の誘致など、さまざまな方法で積極的に待機児童解消に努めることとなった〔待機児童数の推移は、第1節第3項(1)80ページを参照〕。
[図8] 共働き世帯数の推移
出典:内閣府『男女共同参画白書』令和元年版より作成
(備考)1.昭和55年から平成13年までは総務庁「労働力調査特別調査」(各年2月。ただし、昭和55年から57年は各年3月)。平成14年以降は総務省「労働力調査(詳細集計)」より作成。「労働力調査特別調査」と「労働力調査(詳細集計)」とでは、調査方法、調査月などが相違することから、時系列比較には注意を要する。
2.「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」とは、平成29年までは、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口および完全失業者)の世帯。平成30年以降は、就業状態の分類区分の変更に伴い、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口および失業者)の世帯。
3.「雇用者の共働き世帯」とは、夫婦共に非農林業雇用者(非正規の職員・従業員を含む)の世帯。
4.平成22年および23年の値(白抜き表示)は、岩手県、宮城県および福島県を除く全国の結果。
関連資料:【文書】幼児教育 港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査報告書