小中一貫教育校への歩み

102 ~ 104 / 432ページ
■台場地区の港陽小学校の新設
 昭和61年(1986)11月、東京都は臨海副都心まちづくり推進計画の一環として、第2次東京都長期計画の中で臨海部の副都心化を打ち出した。これは、東京湾の埋立地を東京都の7番目の副都心に育成する計画である。そこに位置する台場地区は、大型複合商業施設や高層マンションなどの大規模集合住宅が林立する新たな生活都市への道を進むこととなる。
 平成4年(1992)10月、臨海部の副都心化に伴う教育環境の迅速な整備を求められた区は、教育委員会において台場地区教育施設整備構想を策定した。そして、平成8年4月、港陽小学校が開校した。学校の統廃合が続いてきた区にとっては、昭和38年の芝浦小学校分校(現・港南小学校)の開設以来33年ぶりのことであった。
 港陽小学校は、にじのはし幼稚園と港陽中学校とともに同一敷地内に立つ日本初の幼・小中複合校舎である。地下1階、地上4階建ての校(園)舎の各教室は、臨海部の立地を生かして海に臨むように配置され、目の前にはレインボーブリッジが見える。
 開校開園式は合同で開催され、にじのはし幼稚園2学級31人、港陽小学校6学級122人、港陽中学校3学級33人で新しい学校は動き始めた。
 
■港区初の小中一貫教育校お台場学園の開校
 平成22年(2010)4月、小中一貫教育校お台場学園(港陽小学校・港陽中学校)が開校した。
 港陽小学校と港陽中学校は、開校以来14年間、複合校舎の特性もあり、交流はごく自然に進んできた。そこへ、さらなる連携の強化と教育課程の連続性の確保を目的として、港区初の小中一貫教育校として歩み出すこととなったのである。
 お台場学園は、令和元年(2019)5月1日時点で小学校354人、中学校57人となった。小・中学校が開校した平成8年と比べ、児童・生徒数はともに大きく増加した。
 
■白金の丘学園の開校
 白金地区の神応(しんのう)小学校は平成期を通して児童数が少なく、平成9年(1997)に6学級75人、平成17年に6学級97人、さらに平成26年に6学級87人と、単学級編制が続いていた。
 神応小学校と近隣の三光小学校は平成27年に統合され、さらに朝日中学校を加えて、小中一貫教育校白金の丘学園(白金の丘小学校・白金の丘中学校)が誕生した。
 白金の丘学園の開校の背景には、保護者を含めた地域が一体となって、地域での小・中学校存続を考え、小中一貫教育校の設立を待ち望む熱意があった。平成20年9月30日、朝日地区の地域関係者や3校の保護者が有志で参加する「朝日中学校共育(ともいく)の会」が小中一貫教育校設立に向けた要望書を作成、10町会すべての会長が署名し、区に提出した。平成25年7月には、3校の校長・副校長やPTA会長、同窓会などの学校関係者、町会長や役員ら地域の代表者で構成する「朝日地区小中一貫教育校検討委員会」が設置され、平成27年の開校までに、校名の選定から小中一貫の9年間のカリキュラムに至るまで、具体的な課題を検討した。
 地域全体に支えられながら誕生した白金の丘学園は、地域の中での公立小・中学校のあり方を改めて考えさせる事例ともいえる。

[図4] 平成5年の港区教育施設配置図
出典:『港区の教育』平成5年度版より作成


[図5] 平成31年の港区教育施設配置図
出典:『港区の教育』令和元年度版より作成

関連資料:【文書】教育行政 朝日地区小中一貫教育校施設整備基本構想
関連資料:【文書】教育行政 朝日地区小中一貫教育校施設整備基本計画
関連資料:【学校教育関連施設】