幼・小中一貫教育の推進

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■幼・小中一貫教育の概要
 平成12年(2000)以降、小中一貫教育に取り組む自治体が見られるようになった。
 例えば、広島県呉市では平成12年に文部省(当時)の研究開発学校指定を受け、小中一貫教育に取り組んできた。東京都内では品川区がいち早く取り組みを始め、平成18年からはすべての品川区立小・中学校で小中一貫教育を実施している。
 各地で小中一貫教育に取り組み始めた背景には、いわゆる「中1ギャップ」がある。これは、小学校と中学校の環境の違いにとまどい、学校生活になじめない状況を表す。この対応のために小中一貫教育が注目されるようになった。
 国も、小中一貫教育を推進すべく、平成26年には、教育再生実行会議の提言を受け、中央教育審議会が「小中一貫教育の制度化」を答申している。
 港区では、平成22年度に初の小中一貫教育校「お台場学園」が開校した。その後、幼・小中一貫教育推進のために平成24年度から「アカデミー」を設立し、幼・小中一貫教育の研究を行った。アカデミーとは、中学校通学区域を単位とするグループのことである。平成30年度には10のアカデミーが設置され、幼・小中それぞれの伝統や特色ある教育活動を基盤に、子どもたちの教育を考えている。アカデミーの詳細は第1節第2項(2)66ページを参照。

[図13] 幼・小中一貫教育校のイメージ
出典:「MINATOカリキュラムSecond Version」平成28年より作成

 アカデミーの教育活動の基盤には、「MINATOカリキュラム」がある。MINATOカリキュラムは、区において、区立小・中学校の指導の内容を、教科ごとに単元系統配列表にまとめたものである。ここでは一例として、MINATOカリキュラムのODAIBAプラン[国語科](平成23年度)のうち、単元系統配列表〈A 話すこと・聞くこと Ⅰ~Ⅲ期〉を[図14]に示す。
 平成27年には、白金の丘学園白金の丘小・中学校も開校し、「MINATOカリキュラム」もこの開校に合わせ、第2版(Second Version)がまとめられた。ここで全アカデミーで改めて幼・小中一貫教育がスタートした。

 


 


 


[図14]ODAIBAプラン国語科 単元系統配列表
出典:平成23年度「MINATOカリキュラムODAIBAプラン」より作成

 区における幼・小中一貫教育の成果については「港区立小中一貫教育校推進・検証委員会報告書の概要」(平成24年6月26日教育委員会臨時会資料)で明らかになっている。
 平成22年4月開校のお台場学園港陽小・中学校が展開した「MINATOカリキュラムODAIBAプラン」の検証結果を見ると、学力調査5教科の合計点において、平成22年度は区の平均よりもやや低い状況だったが、平成23年度には平均より12・6ポイント高くなっている。一定の成果が出ていると評価されている。
 
関連資料:【文書】教育行政 港区立小中一貫教育校開設準備委員会報告書
関連資料:【文書】教育行政 港区立小中一貫教育校推進・検証委員会報告書
関連資料:【文書】小学校教育 港区立小中学校MINATOカリキュラム
関連資料:【文書】小学校教育 MINATOカリキュラム Second Version
関連資料:【学校教育関連施設】