港区独自の補助教材

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 副読本は教科書を補完する補助教材である。港区では、教科書会社による市販の副読本や都作成の副読本の他に、教育委員会が各教科研究部の協力を得て作成委員会を設置し、独自の副読本を作成・発行している。平成期には、『わたしたちの港区』『のびゆくこども』『はこね・夏季学園のしおり』『はこね・移動教室読本』の4点を使用した。
 
■『わたしたちの港区』(社会科副読本)
 小学校3年生を対象とした社会科の副読本。3年生の社会科で学ぶ地域の学習の補完教材として作成し、区の特色や特性を記述しつつ、地域についての学び方を解説している。検定教科書には港区に関係する内容が希薄なため、『わたしたちの港区』を社会科の授業で活用している。
 創刊(旧題は『わたくしたちの港区』)は昭和28年(1953)で、執筆・編集には区立小学校教員の協力を得て、おおむね5年ごとに改訂している。平成24年(2012)刊の玉川大学教育学部紀要『論叢』に収録されている寺本潔氏の論文では「戦後最初の社会科地域副読本と思われる」と書かれている(※5)。

[図27] 『わたしたちの港区』平成28年、『わたくしたちの港区』昭和28年
※港区教育委員会

 
■『のびゆくこども』(道徳科副読本)
 道徳科の補完教材として作成している副読本。4年生から6年生までを対象とした共通部分と各学年個別の教材からなり、港区教育研究会道徳研究部が中心となって作成した。
 区では小学校道徳科の補助教材として、1年生から3年生には東京書籍発行の『あたらしいせいかつ一』『あたらしいせいかつ二』『あたらしいせいかつ三』を、4年生から6年生には港区教育委員会・港区教育研究会編の『どうとく四』『どうとく五』『どうとく六』を配布・利用してきたが、昭和62年(1987)から順次変更し、同年に4年生対象の『のびゆくこども四』の配布を開始、翌年には5年生対象の『のびゆくこども五』と6年生対象の『のびゆくこども六』の、平成元年(1989)には3年生対象の『のびゆくこども三』の発行・配布が開始された。

[図28] 『のびゆくこども』4年生対象(左)、6年生対象(右)
※港区教育委員会

 区立小学校各学年における独自の題材はおおむね以下の通り。
 3年生版 「十番ばやし」
 4年生版 「みなと区民まつり」
 5年生版 「ニコニコ学園」「大和雪原」「日本測量の碑」「縄文の文化」「子ども平和塔」
 6年生版 「北里柴三郎」「江戸城あけわたし」「平和の女神像」
 
■『はこね・夏季学園のしおり』『はこね・移動教室読本』
 夏休み期間中に、箱根ニコニコ高原学園で2泊3日の日程で実施する5年生の夏季学園の手引き書として副読本『箱根の生活』を、また、同所で1学期または2学期に実施する6年生の3泊4日の移動教室の手引き書として副読本『はこね』をそれぞれ作成している。

[図29] 『はこね・夏季学園のしおり』『はこね・移動教室読本』平成30年
※港区教育委員会

関連資料:【文書】小学校教育 移動教室(箱根ニコニコ高原学園)(平7・6)