国際理解教育

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 グローバル化が加速し、国際社会に対応できる国際人の育成が強く求められることとなった平成期には、国際理解のためのさまざまな教育施策を実施した。
 平成4年(1992)、教育センターに国際理解教育研究室を設置し、国際理解教育の充実と推進に関する研究を開始した。平成19年度からは、全国に先駆け、国の教育特区(文部科学省関連の構造改革特区。学習指導要領に縛られない多様なカリキュラム編成ができる)を活用し、全区立小学校で「国際科」の授業を開始した。その他、児童の海外派遣、国内留学プログラムへの参加など事業も実施している。また、「日本語指導」「国際学級での英語による学習支援」など、外国人居住者の多い地域特性を生かした国際理解教育も推進している。日本語教育、国際学級については、第2節第3項(3)を参照。
 
■国際科
 平成10年(1998)告示(同14年実施)の学習指導要領は、創設した「総合的な学習の時間」の課題の一例に「国際理解」を示した。
 これを受け、平成14年度から各区立小学校で、総合的な学習の時間などを活用し、英語を母国語とする外国人講師と英会話の学習をしたり、インターナショナルスクールの生徒と交流したりする「英語活動」を導入した。その実績をもとに、平成18年度から、英語の実践的コミュニケーション能力の基礎を培うことを目標として、パイロット校8校に外国人講師を配置し、「国際科」の授業を開始した。パイロット校は芝小学校、三光小学校、神応(しんのう)小学校、港南小学校、南山小学校、筓(こうがい)小学校、東町小学校、青山小学校であった。
 翌年度からは、「世界の人々とよりよくコミュニケーションを深めることができる人材育成」「異文化を尊重し、世界の人々と共生することができる人材育成」「わが国の伝統文化を理解し、そのよさを世界に発信することができる人材育成」の三つを基本方針に掲げ、全区立小学校に区費外国人講師を配置し、全学年とも週2時間の「国際科」の授業を開始した。
 教育特区を活用して開始した国際科の授業は、平成21年度以降も、学校教育法施行規則第55条の2などに基づき、文部科学大臣より「教育課程特例校」の認可を受け、継続している。

[図31] 芝小学校「国際科」用テキスト
出典:芝小学校


[図32] 国際科授業風景
出典:『研究紀要 国際社会に生きる子どもの育成』 平成18・19年度

関連資料:【学校教育関連施設】
関連資料:【くらしと教育編】第14章第4節 (5)国際科、国際学級の設置