区研究奨励校などにおける研究内容の変遷

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 港区立教育センターの取り組みとして、区研究奨励校、区研究協力校などの指定を受け、毎年2~3校の小学校が指導法の研究に取り組んでいる。各学校で実施されている研究は、学習指導要領や区の教育目標が求める教育を実現する上で有効と思われる指導法を試行し、その成果を全体に広げていくための研究である。
 
■平成前期(平成元~10年ごろ)
 平成元年(1989)の学習指導要領改訂では、「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成」「自ら学ぶ意欲と社会の変化に対応できる能力の育成」「個性を生かす教育の充実」などが求められた。
 こうした要請を受け、平成前期には豊かな心を育てる指導、自ら主体的に学ぶ姿勢を培う指導、個性を生かす人材を育成する指導などについての研究を盛んに実施した。それぞれの指導の研究は[図34]の通り。

[図34] 研究奨励校等による平成前期の研究
出典:『港区の教育』各年度版より作成

■平成中期(平成10年ごろ~20年ごろ)
 平成10年(1998)に告示された学習指導要領は「豊かな人間性や基礎・基本を身に付け、個性を生かし、自ら学び自ら考える力などの『生きる力』を培う」ことを基本的なねらいとして改訂され、「総合的な学習の時間」を創設した。港区でも改訂を受け、平成中期の研究協力と研究奨励では、前期に続き、個性や主体性を育む指導や、新たに総合的な学習の時間の中で「生きる力」を培う研究が盛んに行われた。
 この時期には、他者と共生したり他者と適切に関わることのできる力の育成や、コミュニケーション能力を培う指導について多く研究されている。また、少人数教育の導入を基本方針に加えた港区教育委員会教育目標の改定(平成17年度)と前後し、少人数指導やコース別指導の研究も実施された。平成中期の指導の研究は[図35]の通り。

[図35] 研究奨励校等による平成中期の研究
出典:『港区の教育』各年度版より作成

 
■平成後期(平成20年ごろ~31年まで)
 平成20年(2008)の学習指導要領改訂では「脱ゆとり教育」を鮮明にし、「確かな学力」「豊かな人間性」「健康・体力」を重視する姿勢を打ち出した。しかしながら、平成後期にはその影響を強く受けた研究は多くない。一方で、この時期には、中期に引き続き、共生力やコミュニケーション能力を培う指導の研究が盛んに行われた。また、平成19年度から国の教育特区を活用し、小学校で英語科の授業を開始したことを受け、新しい傾向として国際理解教育の研究が盛んに行われた。平成後期の指導の研究は[図36]の通り。

[図36] 研究奨励校等による平成中期~後期の研究
出典:『港区の教育』各年度版より作成

関連資料:【文書】教職員 港区教育研究会・研究状況
関連資料:【文書】教育行政 港区教育委員会研究協力・奨励校(園)等(平成7)
関連資料:【学校教育関連施設】